NPO職員への7つの質問。 ~高平亮さんの場合。

その他

Tatsuya Ishihara

高平 亮 さん

NPOを仕事にする人に、
聞いてみました。




先日、内閣府が発表したNPO法人に関する世論調査結果では、「社会のニーズや課題に市民が自主的に集まって取り組むことは大切だと思うか」との問いに対しては、91.6%が「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答したのに対し、「NPOの活動に参加したいか」との問いには71.6%が「思わない」と回答したとの結果が出ています。

取り組みは大切だけど、参加するには時間がないというNPO。では、これまでの仕事を辞めて、NPOで「働く」ことを選んだ人は、なにを想い、どんな理由で働き出したか?

個人的な興味から、聞いた結果を紹介します。




高平 亮 さん

NPO法人岡山NPOセンター 理事兼職員(ゆうあいセンター所長)


Q1.今はどんな仕事をしていますか?

岡山NPOセンターの職員として、岡山県が設置し、岡山NPOセンターと岡山県社会福祉協議会が協働で管理運営を引き受けている施設「岡山県ボランティア・NPO活動支援センター ゆうあいセンター」の所長をしています。
ボランティアやNPOに参加したいという方に対して、情報提供をしたり、相談にのったりをしています。
それにあわせて、より多くの人がボランティアやNPOに参加するため企画立案なども行っています。

例えば、東日本大震災の被災地の現状を知ると共に岡山県内でできることを考えるセミナーの企画運営や、65歳以上の高齢者を対象に社会貢献の機会やNPOを紹介するイベントの企画などにも取り組んでいます。


Q2.以前はどんな仕事をしていましたか?

自動車整備士をしていました。
車検やオイル交換、部品交換や洗車など、輸入車のディーラーで働いていました。

特に不満もなく、職場環境にも給料にも満足していました。



Q3.なぜNPOで働こうと思いましたか?

自分の人生や生き方について考えると、仕事をしている時間を「対価を得るための時間」や「お金を得るための時間」として割り切る。ということをあらためて考え、自分の人生でやり遂げたいことをあらためて考えるようになりました。

振り返ると、大学生の頃から国際情勢や哲学に興味があり、「自分の人生」とか、「生き方」とか、「世界の不条理」を考えていました。
自動車整備士の仕事に就いた際には、「働かなければ」「給与を得なければ」と考えて選んでいました。働くことが当たり前という中で、生き方までを考えずに仕事を選んでいました。

国際情勢などについても関心があったので、NGOやNPOの存在は知っていましたが、それで生活ができる、仕事になるとは考えていませんでした。その時に「NPOという生き方」という本を読み、NPOでも仕事になる事を知りました。
そして、チャレンジをするなら20代の内だと考えて、自動車整備の仕事を辞めました。

27歳の時でした。



Q4.NPOで働くことに周りは反対しませんでしたか?

まったく(笑)。
「NPOとは何か?」をそもそも周りが知らなかったですし、自分もあまり丁寧に説明しなかったので(笑)。
信頼されていたんでしょうね(笑)。



Q5.どういう経緯で今の仕事(NPO)に就かれましたか?

自動車整備の仕事を辞めてから、職業訓練学校で約半年間、パソコンの操作などを勉強しながら、NPOについて情報収集をしました。
いくつかのNPOに伺い、お話を聴きましたがなかなか条件が合わずにいた頃に、「岡山」と「NPO」というキーワードでインターネットで検索し、「岡山NPOセンター」を知り、今は所長をしている「ゆうあいセンター」を尋ねました。

そこで「ボランティアをしたい」と申し出たところ、ちょうど人の空きがあったことからアルバイトをすることになり、2年目に職員。主任、副所長を経て、8年目で所長をさせていただくことになりました。



Q6.NPOと前の仕事との違いは?

仕事に対する意欲、モチベーションが大きく違います。
休みの日にも仕事のことを自主的に調べたりするなど、自己投資にも積極的になりました。



Q7.今後のキャリアをどう考えていますか?

若い人に自分の席を譲らなければいけないと思っています。
ある種の強迫観念ぐらいに(笑)。
自分がこの仕事で、給料をもらえていることがどれだけ幸せで、恵まれている事かを自覚しているつもりなので、この権利を若い人に提供していきたいと考えています。

なので、将来はできれば、自分で法人を立ち上げて、あらたなNPOの仕事をつくっていきたいと思っています。




編集後記

高平さんと一緒にNPOで働いて8年目になりました。
その間にも、NPOを取り巻く環境は変わってきましたが、その中で世間をみつつ、独特のペースで彼は進んで来ていると、いつも思います。
意外と挨拶上手だったり、まだまだ知らない能力を持っている彼ですが、意外とこのありそうでない、全然違う仕事からNPOへの転職と言うあり方は、いろんな人の参考になるのではと思います。

(2013年9月26日)

関連するNPO団体

関連リンク

同じタグの付いた記事

【SOCIAL GOOD OKAYAMA !ライターのご紹介】
SOCIAL GOOD OKAYAMA !に寄稿くださっている ライターの皆様を、お一方ずつご紹介いたします。 【川島..