持続可能な社会を考える 「2023年岡山でのSDGsサマーイベント」をふりかえる

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今日は、こんにちは、ゆうあいセンターSDGs&CSR相談員 小桐です。

今回は、8月初旬に岡山コンベンションセンターで開催された2件のSDGsに関するイベントについての
概要報告です。それぞれのイベントのブース出展者として、あるいは実行委員として関わった視点からご紹介したいと思います。感想については個人的な意見となります事を、お許し下さい。

初開催となった「おかやまSDGsフェア2023」 ~ついちゃったかも 導火線~は、8月2日、3日に開催され、新聞発表では、4800人の来場があったと発表されました。企業、NPO・NGO、教育機関、自治体、マスコミなどが145のブースとして出展。2日間 殆ど人が途切れることなく、訪れました。
岡山NPOセンターは本イベントの実行委員会の構成団体として参加。石原代表が初日の開会式並びに直後に開催されたシンポジウム「西日本豪雨から5年。子どもたちと共に災害支援を考える」に登壇して幕を開けました。

岡山初の総合的なSDGsイベントとして、1年以上前から構成団体である岡山経済同友会、岡山商工会議所、岡山大学、岡山県、岡山市、真庭市中国銀行、山陽新聞社、おかやま観光コンベンション協会、岡山コンベンションセンター等が打合せを重ねて、企画を練ってきました。
デザインなどは、岡山大学DS部(同大以外の大学生も参加)メンバーが手掛けることで、若々しさやフレッシュ感が表現されたように感じました。 
サブタイトル ついちゃったかも導火線は、学生視点での表現と言えたのではないかと思います。
若い人の3人に2人は社会的な課題に関心を持つという調査データもあり、SDGsを共通語として、知り、学び、つながるきっかけとしてのイベントであったように感じました。
直前1か月からは、地元山陽新聞社の圧倒的な広報により、多くの方々に開催情報が伝わり、関心につながったような印象を受けました。

今回のイベントで特に印象強く感じたことをいくつか紹介します。
その1. ベビーカーを押したママ世代が多く来場
それがどうした?と言われるかも知れませんが、これは大変なことなのです。(イベント成功という意味で)
通常このようなイベントでは、ビジネス関係、出展者関係の他には、中高生が学習のために訪れるのが多いのです。前職の時代、東京ビッグサイトで20万人規模の環境イベントに10回ほど出展し、自ブースで1200人以上の来客対応した経験からしてもこの層が開始直後に多く訪れたのは初めての体験でした。

この現象はいったいどういうことでしょう?知人の学校教育関係者によると、若い世代の母親が、『自分の子供の成育に関わるより良いサステナブルな情報を求めてやってきたのではないか』という仮説を話してくれました。
確かに衣・食・住に関してサステナブルな情報が欲しい世代という点では理解できます。それほど20代後半から30代半ばの女性は家族に関わるSDGsな情報収集に積極的だということなのかもしれません。
午後からも、祖母・母・孫の3世代来場が結構ありました。 これも同じ傾向のようです。
2日目には、夫婦(もしくは父)と子供のファミリー層も見られました。

その2 中学生・高校生が活躍
大学生がこのイベントのデザインや企画に関わっていることは、先述しましたが、ブースも7大学8団体が出展、そして予想以上に中学生、高校生たちがこのイベントを盛り上げてくれました。6高校がブース出展し、自分たちの活動をアピール。他、就実中高生が、アフリカ セネガルの小さな仕立て屋とコラボし魅力的な商品を展開する個人企業ジャムタンと組んでファッションショーを行いました、ミャンマー、ネパール、ホンジュラス、マダガスカル、ザンビア、シエラレオネ、ニジェールなど海外での地域保健状況の改善や貧困削減を目的とした活動に取り組んでいるアムダ社会開発機構(アムダマインズ)のブースでは、
第一学院高等学校の生徒たちが、同団体の授業を受け、自分たちにできる事をしたいと展示してある商品の紹介や現地での活動を紹介していました。SDGsを自分事として捉え、今の自分たちにできることを通して、社会課題解決に貢献しようとする姿が印象的です。
これは、今回に向けて行われた取り組みではなく、SDGsの理解と取組が学校の授業として始まっており、その学びを基に社会課題を解決しようとする新たな学びの形式がこのイベントを通じて発表の場となったものです。

その3 地元アパレルの出展
岡山で全国的に有名な衣料品と言えば学生服とジーンズ。地場産業としてそれぞれを代表する企業が
出展をしていました。ジーンズのベティスミスは、ジーンズの不合格品などをアップサイクルし、新たな商品を創り出したりしており、自社の取り組みについてアピールをしていました。制服では、LGBTQや障がいなど多様性に配慮した制服やその啓蒙のための企業としての出前講座実施などをカンコー学生服やペットボトルから作られ機能性にも富んだリサイクル制服のアピールを明石スクールユニフォームカンパニーが行っていました。このほかにも廃棄消防服の再活用について、取り組み紹介をしている大和被服などもありました。

その4 他者のSDGsの取り組みを具体的に知り、社会課題の存在を理解する場として機能
小職が2日間居たSDGsネットワークおかやま&岡山NPOセンターブースでは、
①SDGsネットワークおかやまの活動紹介(山陽新聞連続シンポジウムを中心に無料講座の案内、若者部会の紹介、政策提言)
②子どもの権利条約に基づいて実施しているKOTOMO基金の説明と支援メッセ―ジ記入案内を行いました。 KOTOMO基金は、孤独・孤立や貧困、虐待など様々な問題を抱える子供ならびに親子を支援するNPO・NGOがより広くアクティブに活動できる(居場所づくり、専門家に繋げる橋渡しなどを含む)ように山陽新聞、社会福祉法人 山陽新聞社会事業団、特定非営利活動法人 岡山NPO センターが共同で立ち上げました。企業からの支援も受付ています。
 説明をすると、多くの方が募金をしてくださり、お礼にマイバッグを差し上げました。通常小銭を入れる方が多いのですが、初日から、1000円札を寄付して下さる方が多く、午前中は、多くの募金が1000円札で募金箱が埋まりました。同時に困窮する方々にむけた支援メッセージもぐんぐん増え、ボードはいっぱいとなりました。
社会課題を知るとともに、子どもの権利条約54をアレンジしたデザインちょっと大きめのマイバッグに関心が高かったのかもしれませんが、このイベントがなければ出会うことが無いだろう方々が知り、動いてくださったことには大変感謝です。2日間で100名以上の方々が来られました。全参加者のうちの2%強がブース来ていただきました。これは、結構な成果です。
本ブースだけでなく、他のブースを回ることで、新たな情報を得られた方は多かったと思います。

ブース配置やゾーニングなどについて個人的な改善意見は出展者アンケートにて報告をしています。
恐らく来年も第2回SDGsフェアが開催されると思います。できれば、1日は土曜がかかることでもっと多くの方々の来場が増えることを期待するばかりです。

続いて第10回おかやま環境教育ミーティングの概況です。
同ミーティングも実行委員会形式での運用が行われており、コロナ禍での休止はありましたが、10回の記念すべき節目を迎えました。当初予定の300名を超える参加があり、今回も成功したと言えるようです。

午前中は、 開会あいさつ・オリエンテーションにつづいて 10:30 ~54のブース展示で様々な交流が行われました。企業は9社や環境活動NPO/団体が21、残りが学校行政でした。初めて参加者する人も結構多く、リピーターもいるものの、フレッシュな環境の学びの場になっていることが、冒頭のオリエンテーションの中で分かりました。54ブースをどのように見ると良いかのブース見学ツアーも6名のガイドにより行われました。

小職もガイドの一人として、森・里・川・海のつながりに関して、関係するブースを巡るツアーを実施しました。地球温暖化という大前提の気候変動減少が進む中、70年前近くに始まった、ダム建設と針葉樹の拡大造林により、岡山の自然環境は大きく変化し、そのつけが今、海に現れています。
森からの養分や砂の供給が止まったことで、干潟や砂浜に加え、魚介類の産卵場として機能を果たしていたアマモ場が衰退。そのために生物種や生物数が減少しています。岡山市の漁協は毎年海底耕耘を行い植物プランクトンの数を増やそうとしていますが、効果は限定的です。汚水処理が進んで窒素分が少ないからという指摘もありますが、それは一部的なものの見方です。海苔の色落ちも深刻です。地元でとれる魚を食べないことにより、チヌが海苔を食い荒らす問題も大きくなっています。水温上昇により。これまで獲れていた魚が獲れなくなっていたり、足切れダコが増加したりと漁業関係は頭を痛めています。
これに海洋プラスチック問題が、加わり目の前の瀬戸内海は瀕死の状況です。

各ブースは、それぞれに自分たちが解決に取り組む環境問題についての取り組みを紹介していました。
SDGsフェアと比べテーマは環境に絞られますが。岡山でどんな課題があるのかについて、知るには充分なブース数でした。環境教育だけに、企業の環境製品の展示という出展は殆ど見られません。自社の活動がどのように環境貢献をしているのか、どのような学びを提供できるのかがわかる展示でした。SDGsフェア出展企業が自社商品のアピールをするという展示はこの場では見られませんでした。その分、一般客が殆ど来ないというクローズな取り組みになっているのだと思われます。

参加者たちは、それぞれに課題を感じ、取組をしたり、取り組みを広げたいという思いで参加をしており、
10年間培ってきた、学びの広がり、深まり、繋がりについては一定程度の成果を残していると考えられます。

午後からは、11の分科会にそれぞれ15名前後が参加して2時間学びを深めました。干潟・海・海ごみをテーマにしたもの、気候変動に関したもの、災害・健康に関するもの、SDGsと関連付けたゲーム、これからの環境教育について考えるものなど。その後の全体会では、違う分科会に参加した5~6人がそれぞれの分科会の紹介や本日得たことなどを共有しあいました。感想を述べる時間に中学生が多くみんなの前で発言していたのが印象的でした。 

このミーティングが始まって10年。当初は、講演を聞いて、ブースでの交流という形式も過去はありました。環境問題を改善する若い力として、大学生をメインに集めようと考えていましたが、試験期間の問題もあり、今では、地元の中学生高校生をメイン対象にした学びのミーティングとなっています。
SDGsの学習と相まって、地域課題の解決に取り組む若い力がどんどん増えてきている実感はあります。どのように途切れさせずに大人になっても活動を継続発展させていけるのか、その環境づくり・整備が、予算元である岡山県や実行委員会、事務局である岡山県環境保全事業団に求められていると思います。

環境に関する人材育成は、このミーティングではうまくいっています。 とはいえ、2030年に46%温室効果ガス削減(2013年比)にむけて、具体的かつ本質的な取り組みを始めている人は県内に何人いるのか? 再エネにシフトした家庭はどれくらいあるのか? 肉食の問題に気づき、食を変えている人は何人いるのか? 温暖化の抑制に関して自分事として捉えライフスタイルを変える県民はどれくらいいるのか?
そのために、知っている人・企業・NPOなどの団体はどのようにアプローチして行動する人を増やすのか?今まで通りでいけないはずです。
SDGSフェアや環境教育ミーティングできっかけの提供とともに実効性のある 持続可能なライフスタイルへの転換する人を増やす工夫が今後も求められていると思います。

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