地元おかやまでの良い企業を探す「CSR報告書を読む会」報告

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こんにちは、ゆうあいセンターCSR相談員 小桐です。ゆうあいセンターにCSR相談窓口が出来て、3年目を迎えました。今年は過去2年の経験を踏まえてさらに活動の幅を広げたいと考えます。是非、ご利用下さい。

今回は、先日4月20日に開催された「第9回CSR報告書を読む会」の報告をし、地元の良い企業について考えたいと思います。この企画は、ゆうあいセンターと任意団体「CSR報告書を読む会」との共催事業で行いました。
当日は、県内外からの参加が有り、総勢36名。県外からのお客様が半分というものでした。
CSRに関わる企業や団体は5団体程でした。その他の構成としては、地域にCSRを行う企業を増やしたいと考える中間支援組織の方が多かった印象です。

「CSR報告書を読む会」は、地元おかやまでのグッドプラクティスを実践している企業の事業活動や報告書を紹介し、岡山で良い企業を増やして社会全体を良くしていこうという意志で行われている活動であり、任意団体です。

今回のゲストは、本年1月26日にソーシャルグッド岡山でも紹介した、岡山県で初めて組織の社会的責任である国際規格ISO26000に準拠したCSRレポートを発行された 株式会社マスカット薬局の高橋社長でした。

高橋社長は、前述のCSR報告書を読む会の第8回目のゲスト企業としてお招きして以来2年を経ての再登場でした。前回は、ISO26000の7つの中核課題の中で、消費者課題に絞ってお話をして頂いたのですが、事業活動のお話を伺ううちに、幅広くISO26000に準拠された活動なので、是非、社会にアピールすべきではないかとの意見が当日多く寄せられ、それを受けて、社内調整をし、同社の幹部の方々にISO26000について勉強をしていただき、CSR報告書を読む会メンバーやゆうあいセンターでレポート作成項目や内容のサポートを行いCSRレポートが完成したという経緯があります。

同社のCSRレポートをテキストとして参加者に配布し、概要説明後に一通り黙読していただきました。参加者がレポートのイメージを理解できたところで高橋社長に作成への思い、配布後の社内や業界での反響についてご説明いただきました。併せて、配布後にレポートについて寄せられた感想、意見の集計データも配布されました。会場はその評価の高さに驚いていました。
その後、作成に当たっての経緯などをゆうあいセンター小桐が紹介し、参加者の方々に質問を書いていただき、それに答える形式で会は進行しました。

CSRレポートを作って一番の効果はリクルート効果だったと高橋社長の弁。東京で同業7社が集まった合同企業説明会では、一番人気だったそうです。他社のビジュアルなプレゼンテーションとは違い、CSRレポートを作った思いを熱く語られたそうですが、既に同社への就職希望者が複数居るとの事で、CSRレポートのコストパフォーマンスは素晴らしいと発言がありました。その他、業界における取材の申し込みが急激に増え、あちこちからの講演依頼も増え薬局業界に新しい風が起きているようです。

これも同社が早くから今後の日本の医療制度が変わらないと医療・社会福祉は成り立たない。目先の私益の為に薬を売り、薬漬けになる日本人を増やすのでなく、健康なくらしをつくっていかねばならず、そのためには、企業として人材育成と地域密着のかかりつけ薬局を目指すという方針をかかげ、愚直にも実践され続けている結果が広く社会に伝わっているからだと思われます。

会場からの質問では、「人材育成について資金面での不安はなかったか」という質問に対しては、ドラッグストアと自社は違うので、社員の質を上げないといけない。質が上がれば社員のやる気も自然と高まるという答えが聞かれました。
「CSRレポートを制作する際に最も難しかったのは?」については、掲載項目の絞り込みであったと答えられました。ISO26000に準拠した多くの事柄を実施しているが、全てを載せるとわかり難くなるとの事で絞り込まれた経緯が見えました。

最後に、コメンテイターとして参加頂いた 人と組織と地球のための国際研究所 代表川北秀人氏よりコメントを頂戴しました、数多くの企業のCSRレポートに第3者意見を書かれている川北氏からは以下のようなコメントがありました。
高く評価すべき点として、本店が書店や甘酒屋とコラボし健康という視点での事業を行っており、地域のチャレンジショップとしての地位を築いている。
健康週間や健康祭りを地域の声を聴く場として活用している。

更に、努力を求めたい点では、リフレッシュ休暇取得状況、女性管理職人数、ハラスメント防止など実績に加え、分母である対象者数を明記することで割合が分かり易くなる。
在職年数や勤務年数を記載することで定着率や企業の働きやすさ・働きがいが間接的に見えるなどが挙げられました。店舗紹介では、実績や課題なども挙げることやBCPへの対応の記載もあると良いとの指摘がありました。

一層の対応を求める点では、環境に関しては定量データの掲載、調達に関して、環境、社会、地域に配慮している実績の掲載などが指摘されました。
2時間という短い時間ではありましたが、参加者アンケートでは満足度の平均が90.35%という結果になりました。同社の素晴らしい点として、「利益を人材育成と地域に還元している。」「薬局なのに薬のいらない世の中を目指すとは衝撃的でした。」「会社の理念が強い勇気と決断に裏付けられていることを実感し、マスカット薬局さんのファンになりました。」などの意見が複数出ました。

今後も、CSRの取り組みが、企業だけでなく広く社会課題の改善にもつながることを広めていきたいと感じた。第9回CSR報告書を読む会でした。
本年2月、3月のソーシャルグッド岡山への投稿で「消費者志向経営のセミナーの報告」を掲載していますが、その講座を含め連続で参加された方には、地元、および全国で活動する良い企業とはどんなものかを実感していただけたと考えています。

なお、マスカット薬局さんのご好意で、ゆうあいセンターCSR書籍コーナーでこんかいのCSRレポートを配布しています。アンケートデータも一緒に配布しています。数に限りがあるので早めに、お越し下さい。

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