持続可能な社会を考える 「探求学習を軸におかやまのZ世代が地域変革のリーダーとなりつつある 」

地域課題・社会課題その他

こんにちは、ゆうあいセンターSDGs&CSR相談員 小桐です。

今回は、10月から11月にかけて県内各地で行われた持続可能な地域づくりに関するイベントからの抜粋で地域変革のリーダーとなりつつある岡山の中高生の活動を抜粋して情報提供をさせていただきます。

今回ご紹介する記事の総合的な発表の場として岡山県教育員会が12月26日に開催する高校生探求フォーラム 2023があり、45校 64グループがポスター発表やステージ発表を行うとのことです。
地域の中高生が連携した取り組みや通信教育の高校の活動などは一部対象外となりますが、岡山のZ世代、SDGsを直接体験で学ぶ世代はこれまでの世代と比べ、明らかに違います。若い時から社会とのつながりを考え、課題を解決変革しようとする「自ら問いを立て、解を模索し、行動する世代です」
今後の岡山の変革、SDGsの達成に期待が持てる若者たちの活動を紹介します。

Ⅰ.10/21開催 みま咲く未来フォーラム 津山市 より
県北美作地域を対象に、地域を見つめ、未来を拓くというテーマで開催された同イベントでは、9高8グループが活動を発表しました。津山東高(津山市)が市の牛肉食文化を若者に広めるためSNS(交流サイト)の活用などを提案。林野高(美作市)は観光誘客に向け、特産海田茶のかき氷を商品化した成果を報告した。以下それぞれの活動概要を紹介します。
① 地域創生学:津山、津山東、津山工業、津山商業 2,3年生44名が夏休み5日間で産業、観光、医療・福祉、教育・人材育成のジャンルに分かれ、フィールドワークで地域課題や解決策を模索。「地域の未来をデザインする」活動をしました。

② 津山商業 阿波で新たなビジネス 北部阿波地区は人口減となり、関係人口を増やすためにグランピング施設などがオープン、夏の集客に一役買おうと 水鉄砲を使ったイベント実施しました。

③ 勝山高校 蒜山高地 CP+コミュニティ ビルディングプロジェクト 蒜山のファンを増やすために7プロジェクトを実施。アイシングクッキーを使った体験型イベント、Z世代にリーチするために動画投稿アプリの活用、12月にはウクライナ郷土料理ピロシキの製造販売を行いました。

④ 林野高校 海田茶を使っての地域活性化 地域で作られる番茶:海田茶の認知度を高めるためにほうじかき氷+豆乳クリームを開発試行錯誤しながら商品が開発できました。

⑤ 津山東:Beef from Tsuyama 江戸時代の養生煮 牛肉文化を通じ津山の魅力を全国に発信。

⑥ 真庭高校 木工の伝統工法 組子 2024年に岡山で植樹祭が開催。天皇の御座背面装飾を担当する組子技法を佐田健美で手ほどき受け制作しました。

⑦ 勝間田高校 みんなで楽しく 誰もが一緒に楽しめるスポーツを ユニバーサルスポーツであるボッチャ体験、小学校で放課後に児童と実施。今後はオリジナルルールを考えるなどして多くの方が交流できるスポーツにしていきます。

Ⅱ.11/12開催 岡山 高校生ボランティアアワードネクスト ゆうあいセンター主催
今年は応募数を絞ったということで応募団体は、7団体。当日発表が5団体でした。以下が発表の概要です。
① 玉島高校生徒会執行部 3つの事例発表。SDGsアクションゲームクロスをオープンスクールで中学生に実施しました、アートで広げるSDGs:ペットボトルで3mのタワーを組み立てリユースも可能となるように配慮しプラごみ削減を呼びかけました。地域の方々と連携し、街歩きで学んだことをSDGsセミナーとして開催し歴史や課題を学びました。

② #じゃみあぴ 高校生ボランティアリーダー養成講座1期生(総社市) ゴミ拾いボランティアを企画、小学生~高齢者の世代交流を実施しました。

③ 倉敷中央病院ボランティア「グリーンはぁと」早島支援学校、松陰高等学校岡山中央校2名
 小児科の院内学級の卒業生が実施、闘病を経験したからこそわかる闘病中の子供たちへの寄り添い、はげまし、笑える活動を実施。2022年ボッチャ、モルック 2023年カローリング(床上カーリング)のほか卒業生2名によるピアノ演奏と、日常の苦痛、不安、閉塞感というストレスをかき出し気持ちを表現「今のきもち」「やりたいこと」をかき出し共有。夏休み生伴奏でのラジオ体操、自分たちの経験談を伝え、不安をぬぐい、一人ではないつながりを共有。今回のグランプリを獲得しました。

④ 倉敷鷲羽高校  「高校生と考える命を守る避難スイッチ」 6月2回児島公民館周辺を歩き、道幅の
狭いジーンズストリートでの災害時での注意点、落下・転倒の可能性のある個所などの危険個所の理解をしました。2回目は、逃げキットを使いマイタイムライン作成、避難行動や避難場所について考え取りまとめポスターを作成。それを公民館や児島支所に掲示して啓蒙。 発表日の翌週に開催の「味野防災まち歩きツアー」サブリーダーとして参加するということでした。
学んだ中から、高齢者や障がい者、幼児などの避難時の要支援者をどうサポートするか、声かけや助け合いができるように対策を考えていく予定です。

⑤ 響き21ガールズ 高校のボランティア部に所属し、NPO法人響きを紹介され、朗読劇やパラスポーツイベント、夏休みのレクレーションボランティアを経験。ボランティアをすることでスタッフの連携の大切さ、ポジティブに行動することの重要さを体験し、社会とのコミュニケーションができるように成長したという発表でした。

Ⅲ.11/23開催 岡山ESDフォーラム ESDの拠点である岡山市が毎年開催するフォーラムです。今年は、スペイン、チュニジアの2団体がアワードを受賞。授賞式の後に、岡山の中高校生4団体の活動発表がありました。
①高島公民館地域づくり隊
高島公民館:高島地域づくり隊 2022年結成、中学生36人、高校生7人、大人11人が参加。
高島地域を笑顔にするヒーローたち 地域も自分も笑顔になれる。
・小学生に夢の実現のハードルを下げるために教材を作っていろいろな仕事があることを紹介、合わせて大人にインタビューして、昔の夢、今の思いなどを語ってもらい動画「高島生き方辞典」として編集。
・高島キッズ夏祭り かき氷やお化け屋敷を企画し実施。200人分の氷販売と200人の入場の実績でした。

② 岡山県立邑久高校:瀬戸内市SDGsカードゲームwith邑久高生
地域探究活動の授業で市役所にて「住み続けられるまちづくり」に関してヒヤリングを行い、現状の課題を確認し、班ごとにまとめ。解決方法について市役所担当課と意見交換。英語日本語で説明会開催。次にSDGs講演会を開催、市の課題のトレードオフについて考え、そのトレードオフを解決した後に発生するトレードオフの洗い出しを行う。そして、瀬戸内市版トレードオフカード(2段階のトレードオフ掲載)を制作。
地域の課題解決について、ノートルダム清心女子大学、岡山村田製作所、老人ホームなどで2年時の探求活動として実施。地域と学校とのつながり、地域の魅力化について考えている。地域住民老若男女で課題の共有ができる素晴らしいコミュニケーションツールとなっています。

③岡山県立新見高校:みんなの育児  同校では探究活動を生かし、地域課題を市議会へ陳情する方向で活動を進める仕組みを構築しています。
今回の発表チームのテーマは「子どもの虐待」に関すること。世界の子供の3/4が虐待を受けている。日本は20.52%。子育てが一番大変なのは、0歳児、2~3歳児この間に女性が子育てに疲れる。1日の男女の子育てにかかわる時間は、女性が8時間15分、男性が3時間45分と圧倒的な差がある。
これは、働く女性にとっては、人権侵害に当たるのではないか。

新見市では、1家事育児サポート:看護ヘルパーの訪問 2母乳育児相談 3産後ケア入院の制度がある。子育てカレッジ「にこたん」という子育て中の親の交流や専門研修なども開催さ入れているが参加者は女性中心。男性が取り組むようになっていない。市と協力しアンケートを実施しました。
家事分担率は、女性78男性22でした。家事の手伝いに関するニーズがあることが分かった。内容としては、掃除50%洗濯14%、料理14% でした。

新見市社会福祉協議会の家事支援内容は、掃除・洗濯・洗い物・料理・網戸障子張り替え・買い物・電球交換などがある。子育てに関して、父親に子供と一緒に参加してもらうことを増やしたい。福井県鯖江市では、「パパと遊ぼう」を月1回開催。男性が気軽に福祉施設を利用できるようにしている。今後広報や啓蒙を増やす必要があるということです。課題設定からヒヤリング、世界や日本、地域のデータ収集・分析提案などしっかりした組み立ての提案でした。

④倉敷市立玉島高校:誰も置き去りにしない学校教育を
夜間部商業科最後の卒業生としての取り組み。コノヒトカン1000缶配布プロジェクトに応募し、200缶を配布できる状況となった。自分たちの中にも不登校の経験がある人がいるが、不登校児童・生徒数が増えており、彼らには居場所がない、不登校となっている人たちに一人じゃない、支援者・理解者がいることを伝えるためにコノヒトカンを活用し、イベントを行った。こども15名の参加、大人はたくさん参加。

10月アゲモラ部屋 自分にとっての不用品をあげたりもらったりする。交換して持ち帰ることができるので、参加のハードルが下がる。11月空き缶アート。ラベルデザインを思い思いに描いて重ねたり貼り付けたりしてクリエイトをした。こども7名参加。食事会を24年3月に地元の井戸端食堂で行う予定で、作陽大学生、玉島商業高校生ともコラボする予定。
同フォーラムは、後半は、若者の社会科参画についてグループセッションをして、全体で共有しました。
若い人が活躍するための、出会いや大人たちによる環境づくり、交流の場づくりが必要という意見が出されました。

Ⅳ.11/24 生理革命委員会 中間報告会 開催
新聞やテレビなどで全国的に知られるようになった岡山後楽館高校女子生徒3名による生理革命委員会
の活動。女子トイレにナプキン設置を呼びかけ、自分たちで始めた実験配置やアンケート、大人を巻き込んだ意見交換会からクラウドファンディングを実施。公立高校にナプキンを配置する予算も獲得し、県教育委員会への陳情、県議会での設置の満場一致を受け、現在各学校が取り組むための説明会の開催や次年度以降の県予算確保ためのアンケートを実施している段階です。

当日2名が現地参加、1名はカナダに留学中のため、ZOOMで参加しました。留学中の澤田さんからは、カナダの高校の生理用品のトイレ配置状況の紹介がありました。個室のトイレはないが、ボックスがあり、タンポンやナプキンが置いてある。その箱には、「生理の時は、生理用品はトイレットペーパーと同じように重要」と書いてある。社会全体として生理に関する理解のレベルが高い。

今回の中間報告会には、会場に同級生や市・県議会議員が4名、NHKで取材をしている記者や山陽新聞社からも論説委員が参加、WEBでも10名近くが参加。
会のメインのテーマは、「まだ取り組みしていない学校へどうアプローチするか?」グループに分かれての意見交換で、先生向けになぜ反対するのかアンケートを取るとともに、先生の負担を増やさない取り組みを考えるなどの意見が出されました。

実際岡山城東高校への贈呈では、生徒会のメンバーに渡すことをしており(NHKのTV放送あり)、生徒会主導での校内配置などは考えられる。県内公立高校63校の生徒会のつながり共有を進める必要があるなどの意見。一方yahooニュースでは、1000件ものコメントが寄せられていて、すべてに目を通し今後どう意見にこたえるか検討中とのことでした。
コメントにある「持ち帰り問題」「男子いたずら問題」「男女平等じゃない」という声には論破する自信がある。
生理の貧困という言葉が誤解を生みやすいので言葉を変えることも考えている。英語でPOVERTYとする方が意味が伝わりやすいかも(貧弱、劣悪、不足、欠乏という意味も含まれている)という考えもあるというところです。

将来(次年度に)は、県に予算化してすべての学校に配置してもらうために、実際どれくらい使われ、どれくらいに予算確保が必要なのかを今年度の実施状況から推計し、岡山県や岡山市に情報提供をする予定。
もう一つの課題として、探求学習から始まったこの事業を後輩にどう引き継ぐか。6月なれば澤田さんが帰国し3年生としてまた活動ができるが。後輩に引き継ぎ、県・市が予算化して実施できるまでの工程に時間がかかることを予想し、活動計画を練っています。

Ⅴ.11/25山陽新聞連続シンポジウム 同イベントでは毎回高校生が総合司会を担当しています。
「身近な資源をゴミに」SDGs目標12にある廃棄物の削減や新たな技術革新の9や資源効率の改善を唱っている8などが関係します。

岡山大学 藤原教授の ごみを減らすために循環型社会になることが求められている。これは気候変動とも大きく関わり、低炭素・脱炭素、海洋プラごみ、フードロスの削減を行っていくことが重要。
化石燃料使用を減らし、バイオマス資源の有効活用を増やし、リサイクル(マテリアル、ケミカル、一部サーマル)により資源効率を高め最終処分量の削減を行うことで循環経済を加速する必要があるとの総合解説を皮切りに、企業の食用油の回収と燃料の製造・販売、食品残差を基にバイオマス発電の事例紹介や真庭市の家庭生ごみやし尿を集めバイオマス発電し、液肥は農業用肥料として無料配布、来年からは全市に広げ、ごみ焼却施設も1か所にする計画の発表がありました。

ここから、高校生の取り組みを紹介します。
①水島工業高校 地域からの協力を得て、廃食油を集め、授業でバイオ燃料製造し、部活動の夜間照明への利用や、興陽高校トラクター燃料としての利用、同行の菜種油栽培による循環活用を実施しています。(菜種油栽培は休止中)、災害時の発電機燃料としての利用などを行っていて2018年の豪雨災害で時には、お役に立ちました。

②瀬戸南高校 まるたまプロジェクト 規格外で販売できない桃やブドウを使い、加工品にもできないものを飼料化する取り組みを行っています。円高で飼料が値上がりする中、上記果樹を使った飼料をニワトリに与えると夏場の食欲減少に歯止めがかかり、肉の味や質には影響を与えていない。農家では廃棄コスト削減、養鶏家ではコスト削減が図られる。ブランド卵にも育てることができるという発表でした。

10月からの5イベントで中高生が自分たちの活動を発表しています。社会変革につながりそうなもの、これからの発展や継続が期待されるものなどがありますが、地域の一員として、社会課題を見つけ、調べ・聴き・学び、そして考え、行動に移している事実は立派です。PLAN DO CHECK ACTIONのサイクルを若き頃から学んでいます。今後の彼らの活動を見守り、支援したいものです。大人も負けてはいられません。

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