中山間地域の高齢化・人口減少について

地域課題・社会課題まち・むら

Yoshiaki Takenaka

私は岡山県高梁市の出身です。高梁市は岡山県内有数の高齢化率の中山間地域であり、それ故に多くの問題を抱えています。そして、私自身は今高梁を離れて暮らしています。実家を離れて15年、社会人になって10年が経って、この10年の間に地元の状態は大きく様変わりしてしまいました。それは大きく以下の3つが原因と考えられます。

①高齢化、後継者不足による耕作放棄地•空き家の急増
②小学校がなくなったことによる地域住民同士の交流機会の減少
③地域の人が自信を失ってしまった事

これらについて、自分も地域後継者としての意見を書かせてもらいました。

①高齢化、後継者不足による耕作放棄地•空き家の急増
この問題は、何も高梁市だけに限ったものではありません。しかしながら、平成の大合併後のデータが残る8年前から計算しても、実に13%も人工現象が起きています。更に、この3年間で5.8%と勾配が一気に上昇しているのです。人口ピラミッドの推移から鑑みても、これから先にこの高齢化が止まる気配はなく、むしろ急上昇することは明確でしょう。仕事を求めて高梁市街で暮らす人も増え続け、かつて葉タバコやトマト、ピオーネといった農作物を作り続ける担い手も減ってしまいました。こうしたことから、結果的に人口減少、高齢者独居、後継者不足が加速し耕作放棄地や空き家が増えていったのだと思います。総人口が減っているため、耕作放棄地が出てくるのはある種当然と言えばそれまでなのでなのですが、やはり今まで沢山の野菜やお米がとれていた場所が荒廃する姿を見るのは辛いものであり決して良い事だとは思いません。それは空き家も同様です。特に幼い頃学校帰りにみちくさした家々が空き家になっているのは当然ながら、悲しいことです。

②小学校がなくなったことによる地域住民同士の交流機会の減少
この問題は地域の活力そのものを指していると言っても決して過言ではないでしょう。子供がいなくなるということは、その地域が地域として維持していかなくてはならない機能の多くを失ってしまうということに直結するからです。この問題については私の出身地である地区では、20年前に全校生徒が30人を切り複式学級が当たり前となっていた頃から危惧されていました。
よく「子は宝なり」と言いますが、小学校は地域住民が自分達を鼓舞する一番の要素を持っているからです。地域から小学校がなくなることで、私の地域では運動会も無くなってしまいました。とんど焼きも、写生大会も、芋掘りも、マラソン大会も、子供達の学校帰りのみちくさも全てが一気になくなってしまいました。

③地域の人が完全に自信を失ってしまった事
上記2点について、地域に残る住民は大きな負い目を持っています。これは目に見えない分根が深い深刻な問題です。高度経済成長期、中山間地域の親達は子供達には経済的に豊かな生活をさせてやりたいと望むあまり、後継者としての選択肢を狭めていった家庭が多かったように思います。そうやって地元を離れて暮らした後継者達が、ふと地元を振り返ってみると自分達の力だけでは到底戻せない時間の変化が見えてきた。それまで必死にそれを見せないように地域の人たちも頑張っていたが、いよいよどうにもならなくなってきたのです。地域に残った住民達は、これらの結果を招いたのは自分達であり仕方が無いことだと諦めている人が多いのが事実です。実際に地域の集会などに参加しても、残念ながら聞こえて来るのはそういったマイナスの話ばかりです。

これらの要因で、現在のところ中山間地域が元気がないと言われているのは事実です。しかし、全てが終わってしまったわけでもないと思います。社会問題として取り上げられたことによって、今一度自分の故郷について考える若者が増えているのも事実です。しかし、まだ具体的な行動に移すことができているかといえば社会を動かすほどでは無いのが現状かなと思います。個人レベルでは、実家に目を向けている若者もいます。この力をまとめ上げて行き、てこの原理で現状を打破する。これが必要なのです。

私は先日、自分の出身ではない県内のある中山間地域の集会に参加させてもらいました。そこでも過疎、少子化を悲観する声が多かったのですが、いい意味でよそ者、若者を活用して行こうという姿勢が見られました。本音をきちんと共有し、ニーズを明確にしていく。そうすれば、悶々と現状を変えたいと思っている地元を離れた後継者もアクションを起こしやすいのではないでしょうか。
私は、この事を通じて数字の大切さを痛感しました。5年、10年先に起きるであろう状況を数値化し具体的なイメージを持って話をし、行動に移して行くためには何をするべきか?何を考えていかないといけないかを明確にするためには数字が一番理解を得やすい。数字は出し方次第で、悲観的な考えを持ってしまう事にもなるが逆に打つべき対策を見出す武器にもなる。自分は今の自分に出来ることを発信していきたい。新しい思いと出会う為に今後も微力ながら思いを発信していきたいと思います。

引用された課題

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