持続可能な社会を考える 「自然に触れて、ひるぜんでSDGsの目標達成に貢献する」

活動・取り組み環境真庭市

今日は、こんにちは、ゆうあいセンターSDGs&CSR相談員 小桐です。

今回は、岡山県北部、ひるぜんで自然に触れ、かつSDGsの目標15陸の豊かさも守ろうに貢献できる
ひるぜん地域の自然再生・維持・保全活動についてご紹介します。

今や空前のアウトドアブーム。ホームセンターに行けば、キャンプ用品コーナーには、テント・寝袋・チェア、バーベキュー用品、調理器具にハンモックと一番場所を取って陳列されています。コロナ感染期間中もアウトドアは安心と根強いファンがあちこちでキャンプを楽しんでいました。

岡山のひるぜんと言えば、県内きっての観光地。山あり、川あり、草原あり、牧場あり、サイクリングコースあり、キャンプ場あり、温泉ありと自然を満喫できる広いエリアです。現在の真庭市の北部旧川上村、八束村、中和村全体を蒜山(ひるぜん)地域と呼んでいます。

今回は、旧川上村と中和村で行われている2地域での自然再生・維持・保全活動をご紹介します。
だれでも参加できるこれらの活動は自然とのふれあいだけでなく、人とのふれあいや自然の楽しさを学べる機会としてぜひお薦めするものです。一度ご参加ください。

「みんなで蒜山の草原を守ろう!」 蒜山自然再生協議会×SAVE JAPANプロジェクト

ひるぜんインターチェンジから車で約3分 チェーン装着場が集合場所です。この活動は、江戸時代以前から行われてきた、草原の恵みを生かした暮らしや活動が、地域の高齢化、過疎化によって地域住民の手だけでは維持できなくなったために近隣地域住民や市内外の人々が集まって草原を維持する年間の活動です。 岡山NPOセンターも 「SAVE JAPANプロジェクト」という全国で自然再生や維持活動を
行う活動の岡山県担当組織として、岡山からのバス運行や道具の支援などを通じて参画しています。

草原を維持するとは、どんな事をして、どんな意味があるのでしょうか? もともとこの地域は、牛と共に農業を営んでいました。牛の夏場の餌としてや田んぼや畑のたい肥、さらには、冬場の牛の飼料として毎年6月から10月まで殆ど毎日朝晩草を刈っていました。その面積は、最大で1000haだったそうです。
それ以外に、屋根の原料としてすすきなども利用していました。茅葺屋根の家が多かったときは、屋根の部分補修や20年に1回の葺き替えで大量にすすきが必要でした。

江戸時代1808年の当時の上徳山村には、1025戸の家があり、42頭の牛と4頭の馬が飼育されていた。草刈り期は実に1260トンもの草が蒜山で刈られていた計算となるそうです。

草地は、放っておくとだんだん木が生えてきてしまいます。さらに長い時間が経過すると森になります。
森も生物が暮らすうえでは大変大事ですが、実は草原にしか住めない生物もたくさんいるのです。
毎年草刈りをするとこの地区は一面のすすきが原になるそうです。しかし、雪解け後の春先に山焼きをすると、植物の芽吹きが良くなります。この山焼きによって住処が確保されるのが、サクラソウやユウスゲ、ワレモコウなどの植物たちです。中でもユウスゲしか食べないフサヒゲルリカミキリは、日本固有種。日本では現在はここにしか生息していないために、地球上ここでしか見られない貴重な生物です。
草刈りに参加して運が良ければこの貴重な生き物に出会える可能性があります。まさに、映える一枚の写真が撮れるのです。

年間の活動を簡単に紹介します。 
春:4月上旬に3日間、山焼きをします。今年は4月1,2日と天候の都合で9日でした。一面の枯れ草がめらめらと音を立て燃えながら真っ黒になる様子は圧巻です。参加者は目的以外の場所に延焼しないように水を入れたジェットシューターという消火器を担いで、火の番をします。お昼に食べられる焼きたての名物ひるぜん焼そばは、絶品です。 5月の連休の頃には、サクラソウの花が咲き、観察会が行われます。

夏:6月は、草刈り、梅雨の晴れ間の土曜日に実施。これをしないとすすきだけが伸びて、サクラソウ、ユウスゲなどが成長できなくなります。ということはカミキリムシが居なくなってしまうのです。

秋:晩秋の11月には、翌春の山焼きを安全に行うための防火帯づくりが行われます。幅7mほどの防火帯の草を刈り、その草を山焼きする場所に移動します。箒・熊手やフォークで集めて、放り込むのですが、急な斜面で行う作業のために安全に配慮しながら行います。午前中でこの作業を終え、昨年度は、午後から平たんな場所でのすすき刈りを行いました。すすき以外の植物を混ぜないようにして、屋根を葺くための束も作ります。神戸かやぶき古民家倶楽部のお二人が講師となり、指導してくださいます。
最近のテレビの旅番組や雑誌では、各地で人気の古民家カフェが紹介されますが、西日本では、このひるぜんのすすきが結構な割合で使われるらしく、古民家再生への貢献もできるということになるのです。

次に中和地区での保全活動です。津黒いきものふれあいの里という真庭市のネイチャーセンターに隣接した場所に 12年前から始まった森の再生事業「まにわトンボの森」があります。
50年近く放置された場所は、地域の特産植物チマキザサに一面覆いつくされ、足も踏み入れられないほどの死にかけた森でした。ここに、真庭市と森づくり協定を結んだ、(株)トンボ(トンボ学生服)と真庭観光局(当時観光連盟)、地域住民や真庭市内外の市民、さらに地元真庭高校生、岡山後楽館中学・高校生、美作大学生などが森の笹刈や小径木の伐採などをプロの林業家の指導を受けながら実施しています。年3~5回の活動で、笹しかなかった森に、アカマツの新芽が芽吹き、森のアロマと言われるクロモジの林が自然と蘇ってきました。植物だけでなく、ウサギやリスなどの小動物も見られるようになりました。
水辺にはトンボも増えました。

この森の活動は、2010年に名古屋で行われた」生物多様性の国際会議で決定され、国内で2012年から認定がはじまった生物多様性実施プロジェクトの「にじゅうまるプロジェクト」第1弾10の取り組みに選ばれています。多様な人々が集まって森づくりをすることの価値が認められました。

現在トンボの森の一角は、冒険の森ひるぜんとして、県内唯一のフォレストアスレチックとしても利用されています。(有料) また、トンボの森に隣接した湿原は、津黒湿原再生協議会が湿原保全のための活動を実施しており、今年は4年ぶりに9月後半に合同で、森の笹刈りを中心にした保全活動が再開される予定です。基本は午前中2時間ほどの森の活動です。

ここからは少し、SDGsと自然再生に関しての解説をします。2015年から始まったSDGs目標15は陸の豊かさも守ろうとして、自然環境の再生や保全・保護、維持活動などの目標が設定されています。
一方10年ごとに開催される生物多様性条約締結国会議は名古屋会議の10年後、2020年に開催され、10年の振り返りと共に2030年と2050年のあるべきビジョンを策定しました。2021年G7サミットでも生物多様性の重要性を認識し、SDGsとも共通する 30by30(サーティ・バイ・サーティ)という目標を設定しました。これは、2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復させる(ネイチャーポジティブ)というゴールに向け、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標です。

日本では、この達成に向け、環境省が中心となり、30by30の達成を目指すため国立公園等の拡充のみならず、里地里山や企業林や社寺林などのように地域、企業、団体によって生物多様性の保全が図られている土地をOECM(Other Effective area-based Conservation Measures)として国際データベースに登録し、その保全を促進していきます。」とあります。個人の勝手な思いですが、今後上記の活動がOECMとして応募され、認められことを期待しています。そうすれば、これらの活動に参加することで、SDGsの目標達成に貢献できることとなります。また選ばれなくても、活動に参加すれは直接的な環境貢献ができます。

自然はありがとうでつながっている。人間もまた、自然の一部、ありがとうのつながりが途切れると自然も人間社会も困った事がたくさん起きてしまいます。
SDGsの17の目標169のターゲットは、ありがとうのつながりを取り戻すための目標でもあります。

今年は是非、上記活動に参加ください。
「みんなで蒜山の草原を守ろう!」に関しての問い合わせは、
津黒いきものふれあいの里ネイチャーセンターささゆり館
住所:〒717-0513 岡山県真庭市蒜山下和1077
電話:0867-67-7011   メール:tsuguro@po.harenet.ne.jp

「真庭トンボの森づくり活動」に関しての問い合わせは
真庭市生活環境部環境課へ 
Tel : 0867-42-1113 
参加申し込みは、実施日9月後半日の1か月前からになる予定です。9月になってからの問い合わせをお薦めします。

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