持続可能な社会を考える 「生理の貧困について」

活動・取り組みその他

今日は、こんにちは、ゆうあいセンターSDGs&CSR相談員 小桐です。

今回はSDGs折り返しの年を迎える今年。日本でもこのままでは、達成が難しい目標の一つジェンダー平等について、高校生が自分たちにできる取り組みとして進めている活動についてご紹介します。テーマは、「生理の貧困について」 この取り組みの経緯やこれまでの活動についてご紹介します。

先ずは、SDGs目標5 ジェンダー平等に関しての情報共有です。
2022年版 世界ジェンダーギャップ報告書では、146カ国を対象に経済、教育、健康、政治の4分野で男女格差を指標化し、その結果を、順位をつけて公表しています。
日本は116位(政治139 経済121 教育1健康63)でした。 前年は120位/156カ国対象。これは、殆ど変化していないということかもしれません。 
政治や経済分野での格差、G7で最下位、太平洋地域 19か国 でも最下位という残念な結果です。
男女格差の小さい国では、1位アイスランド(89%)13回目の首位、2位:フィンランド(86%)
3位:ノルウェー(85%) と北欧諸国が上位となっています。

2022年度の日本自体のSDGs目標達成状況では、目標5のジェンダー平等は改善する傾向にあるが達成できないという現状です。このほか、環境3目標(気候変動、海の豊かさ、陸の豊かさ)とパートナシップ
が今のままでは達成しない状況です。

生理の貧困に関する ジェンダー平等目標における関係するターゲットは
5.1 あらゆる場所におけるすべての女性及び女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃する。
5.5 政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する。
5.c ジェンダー平等の促進、ならびにすべての女性及び女子のあらゆるレベルでの能力強化のための適正な政策及び拘束力のある法規を導入・強化する。が挙げられます。

なぜこのテーマが取り上げられ、取り組まれているのでしょうか
きっかけは、山陽新聞社が紙齢5万号を記念して2022年8月に開いた「高校生大討論会」でした。
この大討論会には14校の約40人が参加し、将来目指すべき岡山の姿を教育や環境、国際化など多方面から話し合いました。生理もテーマの一つで、今回の活動をしている岡山後楽館高校2年生の沢田さんも議論に加わっていました。

沢田さんは9月に、「どうすれば県内の公立高校の女子トイレに生理用品を置いてもらえるだろうか」と、大討論会のコーディネーターを務めた石原達也さん(SDGsネットワークおかやま会長)に相談したことから活動が動き出します。
石原さんは「大討論会での議論をもっと深めたいという熱意を応援したい。ジェンダー(社会的性差)平等への課題も話し合える」としてSDGsネットワークおかやまの定例会特別編として12月にシンポジウムを開催しました。テーマは、「生理の貧困」から「当たり前」を考える。

パネリストには、後楽館高校2年 瀬戸の3名(沢田まりあさん、山領珊南(さんな)さん、山形萌花さん)、瀬戸内市内の公共施設で生理用品を無料提供している同市市民課 課長補佐女性、シングルマザーらを支援するNPO法人オカヤマビューティサミットの代表 柚木 幸子さん、議会で生理の貧困に関する質問をしたことがある女性県議2名と、岡山市議男性などが参加しました。

パネラーの発言内容
後楽館高校3名からは、総合的な学習の時間を活用し、2022年1月ごろから学んでおり、高校生大討論会後の10月に、生理の貧困について校内で実態調査を実施し、結果を取りまとめると並行して、11月に実験的に1カ月間女性用トイレの個室に生理用ナプキンを置き、利用状況を調べました。普段は保健室に取りに行く必要がある状況から困ったときにトイレに行けば利用できる状況を作りました。
アンケート結果では、約4割の生徒が最低一度は利用したと回答。そして、現在の保健室に取りに行くという方法に比べて、個室トイレにある方が利用しやすいと答えた生徒は95%を超ました。

女性県議からは、御津高校での実験的設置の結果が報告され、 時間的な問題あり、トイレにあると安心。緊急避難措置として、利用する。60%以上が継続しておいてほしいと急な生理で困る生徒の声がありました。現状は、コロナ予算で設置している。県立高校全体のトイレの個室に置くと190万円の予算が必要となるとのことでした。 
また、令和4年(2022年)9月の議会で質問した際の 教育長の答弁も紹介しました。 保健室で渡すが 45校 というものです。

岡山市議男性からは、災害費用で置いている。ローリングストックとしてナプキンを予算化。最初数個貰うことがあっても、安定してあれば、安心できるので、必要分しか使わなくなる。ナプキンの設置については、
岡山市教育長はトイレにナプキンは置かない。保健室で渡す。相談の機会となる。トイレに置くことに疑問の声があるとの答弁が紹介されました。

瀬戸内市 市民課長補佐(女性)は、 令和3年(2021年)市民からの陳情で市内4カ所のトイレにナプキンの無料ディスペンサーを設置、これは、株式会社と提携し、無料のアプリをダウンロードすれば個室で使える仕組みにしている。ナプキンは動画の広告収入で運営されており、動画の内容は瀬戸内市がチェックしてから流すことになっているので公序良俗に反することはない。

ひとり親家庭などを支援するNPO法人オカヤマビューティサミット(岡山市)の柚木幸子代表理事からは
困窮世帯対象にもったいないマーケットを開催した。みんなの公共冷蔵庫 北長瀬コミュニティフリッジでは、米とトイレットペーパー、ナプキンの人気が高いと報告がありました。

・会場からの意見としては、トイレにナプキンが置いてあることが当たり前であり、議論すること自体が(ジェンダー平等の視点から)遅れている。参加した男子大学生からは、生理についての教育は? 性教育の理解から学ぶ機会が少ない。幼稚園・小学校からでも教育をすべき。男女別々 男性として受けた。 男性議員からの反対が多いのはなぜ?という疑問も上がりました。

12月以降の進捗状況の報告を2023年2月3日にSDGsネットワークおかやま定例会で行いました。
高校生たちが展開した活動は、「生理革命委員会」として、公立高校の女子トイレにナプキン設置を求める署名活動を実施するとともに、県から予算が下りない場合を想定して200万円を目標にしたクラウドファンディングです。
彼女たちの目標は、トイレットペーパーと同じように世界中、日本中の女性トイレにナプキンを常備する、
生理のイメージを改善し、正しい当たり前を実現する。
署名サイト:https://chng.it/JFndyFKBhj
クラウドファンディングサイト:https://readyfor.jp/projects/physiological_revolution

これまでの経緯をSDGsネットワークおかやまのホームページでも公開しています。
定例会の模様も一定期間見ることが出来ますので、アクセスしてみて下さい。
https://sdgs-okayama.jp/1324/

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