持続可能な社会を考える 「瀬戸内海・海ゴミフォーラム」より

イベント・セミナー環境

今日は、こんにちは、ゆうあいセンターCSR相談員 小桐です。
今回は2021年12月19日に山陽新聞社さん太ホールで開催された表記SDGsイベントに参加してのレポートをお届けします。主催は岡山県 企画運営をみずしま財団(公益財団法人水島地域環境再生財団)が行いました。同月には、政府がSDGsアクションプラン2022を発表しました。その中で、生物多様性、森林、海洋等の環境の保全にも言及し、「海洋プラスチックごみ対策を推進する。また、これまで日本が海洋プラスチックごみによる新たな汚染を2050 年までにゼロにすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」の実現を目指し、国内外で海洋ごみ対策を進めてきたことを踏まえ、2 月の国連環境総会で海洋プラスチックごみ対策について国際約束作りの開始を目指す」とあります。そのような意味においてもタイムリーなフォーラムであったと言えます。

岡山市北区の笹ケ瀬川の流域、砂川と中川が合流する尾上地区は、昔から桃太郎伝説があり、お爺さんが山へ柴刈に、お婆さんが川へ洗濯に行って上流から流れてきた大きな桃を拾ったという言い伝えがあるそうです。
笹ヶ瀬川は、以前は瀬戸内海に流れ込んでいましたが、1960年に淡水湖の堤防が出来てからは、淡水湖に注ぐ川となりました。

当たり前の事なのですが、川の水は上流から下流へ、そして海へと流れていぎます。川には、水だけでなく、岩や石、砂なども流れます。時には、水害・洪水によって樹木・竹・草本、魚介類なども下流へ、下流へそして海へと流れ込みます。
その水は、栄養塩基も含んでいて、特に腐葉土を通ってきた水は、海の生物にとって有益な鉄分なども含んでいます。桃太郎の時代は、まだ化学物質が作られていなかったのですべて分解され、悪影響無く循環していました。しかし、現在は残念なことにプラスチックなどの合成物質が製造され、自然界に流出したことで様々な問題が起きています。
今回は、瀬戸内海のゴミの状況と改善に取り組む方たちの活動を紹介すると共に私たちが何をすべきか考えてみたいと思います。

岡山県南部の海岸線が面する瀬戸内海は閉鎖水系と言われており、外海からの海洋ごみの流入が少なく、外洋とは違い川から流れ出たゴミが瀬戸内海の中で、沈んだり、軽いものは漂着したり、あるいは波に砕かれ、微細に・微塵になったものが瀬戸内海を漂流するようです。 

基調講演1の演者として、「瀬戸内オーシャンズX(エックス)」の取り組みについて香川県在住の公益財団法人日本財団の塩入 同氏が発表されました。瀬戸内海に流れるゴミの量は年間4500トン これを、2020年12月25日から始まった瀬戸内オーシャンズの取り組みによってゴミの流入70%削減、回収10%以上増やすこととで、世界の海洋ゴミ対策のモデルと要というものです。
「瀬戸内オーシャンズ」とは岡山、広島、香川、愛媛の4県と日本財団さらに賛同する団体が協定を結び、瀬戸内海の海洋環境の保全、 改善を行う取り組みです。
海ゴミの80%は陸から川を通って流れ込むと言われており、日本財団が4県の川ごみ(陸ゴミ)の調査をすることからスタートしました。ごみの種類もポイ捨て、漏洩、投棄と3つに捉えられるそうです。調査は2020年12月~翌年5月まで280本の河川23770地点で行い、流域の長さは、1188kmにも及びました。河川本流だけでなく、私たちの生活圏であるかの支流や用水路(特に岡山は用水路が多い)の調査も行っています。4県の人口の60%のゴミを調査したことになるそうです。
下記サイトに各県のデータがあります。
https://setouchi-oceansx-data-platform-beta1-naigai-map.hub.arcgis.com/
このサイトは瀬戸内海全体の陸域のゴミの状況が地図として描かれていて、拡大すれば自地域のごみの内容やその量も見ることができます。海ごみという遠い存在が自分の地域のゴミとして自分ごととして捉えやすいデータです。

調査結果によるとゴミが集まるホットスポットは4県で1711箇所、半年で100トンのプラごみが排出されるとのこと。岡山県には318箇所のスポットがあります。岡山県の特徴として、平野部の水路が全国平均の5倍。水門や網場にもゴミが集まります。農地が住宅化されたり、農家の高齢化で水路の管理が手薄になることで、ゴミが増えたり回収されない原因となっていて、今後の対策として、水路・水門・網場の清掃管理をする地域の仕組みが求められるとしています。 水路に近いゴミステーションに入りきらないゴミが水路に落ちでプラごみとなることも事実あると発表されました。 海ごみがずいぶん身近な話として捉えられる示唆でした。

ホットスポットの改善策として
① 戦略的クリーンナップ作戦:これまでの住民や企業に加え、行政がホットスポットに関して担い手や予算など把握し、人・モノ・金を投入して改善する。
② 適所へのゴミ設置:拾ったゴミを誰でもいつでも捨てられるゴミ箱の設置。特にポイ捨てされやすい場所=ホットスポットに重点的に配備。
③ プラスチックのリサイクル+アップサイクルの促進:キャップ、ラベルを分別投入するとポイントがもらえる「ペットボトル回収機」ボトルtoボトルのリサイクル促進。
④ 啓蒙やゴミ拾いのイベント実施。成果を可視化、県民の瀬戸内海を未来に引き継ぎたいという思いの醸成のための若い世代への海洋教育 という提案がありました。

基調講演2では九州大学 大学院工学研究院 清野 聡子氏から 海ごみ問題解決にむけた社会変革~コロナ禍での地域環境活動と企業協働の可能性~について発表がありました。九州北部玄界灘の海流と季節風、福岡市付近の地形の連鎖により海ごみが堆積、砕かれマイクロプラスチックになるという異常な現象が日常化している。 日本だけでなく、中国・韓国のペットボトルも漂着。まずは国内のペットボトルの漂着を30%以内に抑える清掃活動を図りたいということです。
そのためには、ゴミ拾い以外に、ライフスタイルの変化=マイボトル利用や啓蒙などが必要。高齢化や人口減の地区では、漂着ゴミ回収の担い手となる体力のある若い世代(大学生・高校生)が必要、同時にゴミ情報の集約・可視化を行えるようにIT技術者・協力者が必要と言われました。

大学生が主役となった九州大学うみつなぎ海洋教育プロジェクト(オンライン)や海でつながる高校生ミーティングなどが開催され、自分たちの取り組み発表などが行われています。このほかにも多様な世代が集い、その環によって海ごみをゼロにするミーティングもオンラインで開催されました。企業のCSR活動とも連携することが重要であると発表されました。特に島嶼部においては、高齢者が多く若い人がいないためにゴミの回収が難しいので、CSRと連携することは、新しい考え方・行動につながるかもしれません。

基調講演の後は、企業や漁協、町内会、高校生などの取り組み発表があり、情報を共有しました。
セブンイレブンジャパン サステナビリティ推進室 環境担当 矢萩 陽子氏からは、セブンアイグループ環境宣言によるグリーンチャレンジ2050の4つの取り組み説明がありました。CO2削減、プラスチック削減、食品廃棄削減、持続可能な調達です。プラ削減活動の一環で清掃活動と勉強会を開催。当日の主催者の理事 磯部 作氏(岡山・香川海ごみ対策アドバイザー、環境省瀬戸内海ゴミ対策検討委員把握部会長)を講師として招いているとの発表がありました。一方、ペットボトル回収装置は県内120の店舗に設置し、5本でナナコ1ポイントの付与があるとのことです。

岡山市北区尾上町内会では、笹が瀬川流域のゴミ拾いを20年前から実施。特に川が合流する地点での活動を行っています。川掃除だけでなく、樹木の伐採、川の浚渫なども行い、能力に応じて参加できるように、絆づくり、土木、水利・草刈、生活環境組合など8つの部会を編成しています。

寄島町漁協 大室 欣久氏からは、エビ、シャコ、カニなどの底引き網漁の傍ら、海ごみ回収をしておられます。底引きで詰めのついた道具で海底ゴミを掘削。20~30分を1回として1日に15回ほど実施。一番多いものはプラごみとのこと。回収したごみは、漁協の4か所にある底曳きゴミステーションに集積、可燃不燃に手作業で仕訳し、時には、手にけがをすることもあると。甲イカの産卵のために樹木を海中に沈めているが、ポテトチップスの袋が引っかかっている木には、産卵がされていないことが水中ドローン撮影によって確認されました。ゴミの量は減っているものの、ゴミへの意識を持って欲しいと言われました。生活が懸かっているだけに重い言葉でした。

広島県環境県民局 環境保全課からは、2021年6月に行った2050輝くGREENSEA 瀬戸内ひろしま宣言の説明があり、プラットフォームを設立し官民連携でプラ削減(ペット・プラボトル・レジ袋・食品包装)野」取り組みを開始、65社・団体が参加。宮島海岸の清掃も実施。

この後は、短時間で高校生の取り組み紹介でした。山陽学園中高 地歴部(第2回ジャパンSDGsアワード特別賞受賞)は海ごみ(海底・漂着)の調査報告をスーパーマーケットで行っているとの紹介があり。島の漂着ゴミは除去しても2~3か月で元の量に戻ってしまう。用水路のゴミ、人が多いところ、交通量が多いところ、商業施設付近にゴミが見られるとの発表でした。

学芸館高校では、農業で使用されるプラスチック被覆肥料について、農家の認知度が引くこと。プラ以外の商品としては1種類のみで湿気、衝撃に弱く現時点では、改善が進まないことの発表がありました。

校内にプラ回収ボックスを設置した創志学園、廃プラを回収してリサイクルする油化装置プラントを作った水島工業高校、カブトガニへのマイクロプラスチックの悪影響を懸念して実施した笠岡高校の川のプラごみ調査の布告がありました。
無関心・知らないから解決につながらない海ごみ問題。知った人は何らかの行動をしているし、元々ゴミのポイ捨てはしない。根気強く啓蒙をしていくことが重要と感じたフォーラムでした。
町にもっと多くの分別回収できるゴミ箱が設置されれば、ポイ捨てごみを減らせるのではないかと感じたフォーラムです。

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