地元企業のSDGsの取り組み紹介 その1マスカット薬局

活動・取り組みその他

こんにちは、ゆうあいセンターCSR相談員 小桐です。
SDGsに関する地元企業の取り組み情報を今回から2回にわたってお届けします。

ゆうあいセンターのSDGsに関する講座の受講者の声で、「地元の企業が取り組むSDGsの事例が知りたい」というものがあります。
SDGsにどう取り組んだらよいか分からない。世界共通の目標と自社の事業がどのように関係するのか?自分事にするにはどうしたら良いかという質問が結構寄せらせます。
今回は、そのような声にお応えすべく、実例をご覧いただき、参考にしていただこうとして紹介するものです。

SDGsに取り組むことは、社内に取り組むための環境づくりや条件整備をする必要があります。
一社員がSDGsの勉強をしてトップに提案してもトップの合意や後押しがなければ導入には至りませんし、代表者が一人、導入すると決めても、社内の理解、浸透するための仕組みや担当がいなければ定着には至りません。

今回のシリーズでご紹介する2社は、トップの理解と共に幹部や社員が自社の仕事とSDGsの目標を自分事として理解され、実践されているものです。両者ともにSDGsの目標を自社の事業活動とリンクして取り組んでおられます。
SDGsは、一面から見ると世界共通の社会課題ですが、一企業や一組織の目から見ると、自社の経営をもっと良くして、企業や団体の理念を実現するための経営ツールと見ることが出来ます。

自社の事業活動が、世界共通の目標とシンクロしていて、社会をより良い方向に発展させることに貢献していることが分かれば、社員の仕事に対する満足度も高まります。また、レポートという形で社内外の人々に告知することで、認知度や自社への理解度が高まり、新しいビジネスのチャンスにつながることも考えられます。 
大事なのは、SDGsの取り組みをレポートのような形式で残し、伝達することです。 

若い世代ほど、社会市民意識が高くなっています。スウェーデンの女子高生グレタ・トゥンベリさんの一人きりの国会前座り込みは、地球環境の未来に不安や今の世界に疑念を持つ若者にあっという間に支持され、500万人を超える人たちが、安心して暮らせる未来づくりを呼び掛ける行動として世界へ広がっています。企業のリクルートにもSDGsの取り組みを紹介することで大きな影響が出ます。 
経済、社会、環境のバランスをとらないと投資家から見向きもされないように、地方の金融機関でもESGの取り組みに対する評価が高まっています。岡山県内で事業を営む2社の取り組みを、CSRレポートの内容を紹介しながら、SDGsの取り組みを明らかにしていきます。
2社ともにホームページでCSRレポートをダウンロードすることが出来ます。ぜひ一度ご覧いただきたいと思います。

第1回 株式会社マスカット薬局 「CSR REPORT 2018」
今年度で3冊目(3年目)となるCSRレポートです。2018年7月1日~2019年6月30日までの期間を対象としています。上場企業は決算が終わって3か月以内に株主総会を開催し、そのタイミングに合わせてCSRレポートを発行されることが多いですが、同社は創立20年であった2018年度は社史の編纂もされており、限られた人数でのレポート作成となったために、例年より少し遅めのレポート発行時期となりました。

はじめにCSRレポートの編集方針が書いてあり、すべての組織が適用可能な社会的責任のガイドライン 国際規格ISO26000に準拠した構成になっていることを説明してあります。
このISO26000は他の規格と違い認証・登録は行わないガイドラインなので、認証費用などは一切不要です。同時に、SDGsの目標達成のために組織として行うべき行動がガイドラインとして書かれているので、SDGsの目標達成に向けた取り組みをおこなう際の基本として活用することが出来ます。

トップメッセージでは、20年を振り返るときに自社が毎年行ってきた取り組みがSDGsの目標に結果的に合致していたことに気づいたとあります。現状のままでは、私たち人間が生存的ないと明確に発言されています。そして、2020年にSDGsの最後の年2030年に向けたビジョンを発表するとあります。持続可能な社会づくりにむけて本気で取り組もうとする姿勢が見えます。

SDGsの紹介ページでは、SDGsの17の目標の紹介と共に、自社が取り組むSDGsの10の目標が記載されています。
3.すべての人に健康と福祉を  4.質の高い教育をみんなに 5.ジェンダー平等を実現しよう 
7.エネルギーをクリーンにそしてみんなに 8.働きがいも経済成長も 10.人や国の不平等をなくそう  11.住み続けられるまちづくりを 12.作る責任・使う責任 13.気候変動に具体策を
17.パートナーシップで目標を達成しよう 
この10項目に対して、マスカット薬局の課題と取り組みという「マテリアリティ(重要な取り組み項目)」の一覧表を作成されています。 個々の取り組みは後のページで具体的に紹介されています。

自社の歴史を振り返り、歩んできた経緯をイノベーションの歴史としてSDGsの目標に関連付けて紹介されています。

以後のページでは、ISO26000に準拠した項目順に事業内容が構成されており、その概要を紹介します。
その年度で一番訴えたいことをトピックスとして2件紹介されています。
1番目はおかやまケンコー大作戦への取り組みです。 岡山市のSDGs目標の一つ市民の健康を守るという健康ポイント事業にどのように薬局としてかかわっているかが書いてあります。
2番目は、20周年を迎え、行った事業・イベント等の紹介です。この節目が同社にとってどれだけの価値を持つものであるかを伺い知ることが出来ます。

これからは、ISO26000に則った、事業に関しての紹介です。
「組織統治」に関しては、組織体制やその思い、部門の役割を紹介と14店舗の紹介があります。
「人権・労働慣行」については、健全な企業風土づくりというタイトルで、最初のページでは、ワークライフバランスや女性社員の活躍推進、育児介護休業制度の年次報告がなされています。
次に働きやすい職場づくりのタイトルで、人材育成の取り組み 研修会・発表会、学会の模様が紹介されています。同社が社員の個人の力を発揮してもらうために、教育に一番力を入れていることが読み取れます。
「消費者課題」としてかかりつけ薬剤師、かかりつけ薬局を目ざしてのタイトルで、在宅医療サービスや顧客満足度調査に取り組んでいることが紹介されています。
「公正な事業慣行」として信頼される薬局を目ざして 公正な商品取引、有資格者による接客、適正な保険請求などの項目があります。
「環境」は地球環境負荷低減のために エコアクション21に取り組みを始めた様子が記載してあります。これまで、他の項目と比べ弱かった取り組みが強化されつつあることがうかがえます。同社の思いを強く感じる取り組みでもあります。
最後に「コミュニティへの参画」は地域の健康を守るためにとして、 認定栄養ケア・ステーションや栄養相談・栄養指導、インターンシップの受け入れ 健康教室、薬局へ行こうウィークなどの取り組みが挙げられています。 

ともすれば、自社の取り組み紹介に終わりがちな、手前味噌のレポートが多い中、最後に、第三者意見として岡山で活動する任意団体「CSR報告書を読む会」による意見が記載されています。それぞれ立場の異なる4名の幹事が、専門分野の知識・経験を活かし労働組合、環境、NPO,企業のCSR担当という視点で同社の取り組みについて評価をしています。 

マスカット薬局のCSRレポートは3年分閲覧できます。

ホームページと合わせてご覧ください。
https://muscat-pharmacy.jp/

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