「SDGs時代の経営 ~人権への取り組み」
イベント・セミナー働き方
こんにちは、ゆうあいセンター CSR担当の小桐です。
今回は、2月21日に岡山で開催された 人権に配慮した経営についてSDGs視点でご紹介します。
この講座は、公益財団法人人権教育啓発推進センターの主催事業として行われました。主に企業の経営において配慮すべき人権に関する項目について3人の講師よりお話がありました。企業だけでなく、NPO・NGOやそのほかの組織の関しても参考となるテーマです。
サマリーにて報告させていただきます。
一人目は「CSRと人権」のテーマで横浜市立大学 CSRセンター長 影山 教授の講演です。
①CSRの意義について
・社会の期待やニーズに応えれば、経営を維持できる。それは、社会の利益と企業の利益を両立させることにつながる。
・企業運営自体がCSRであり、企業としてやらないといけないことが経営戦略である。従って、トップが言っていることを、現場で社員が理解し、仕事で責任を果たすことが重要である。
②CSRで取り組む課題
・業務で取り組むべき課題は、多種存在する。コンプライアンス(法令順守)、品質、雇用・労働安全性、情報セキュリティ、環境、社会貢献、情報公開、内部統制。利害関係者も多様であり、それぞれに対応をする必要がある。
・欧米からスタートしたCSRについては、市民が「社会全体に責任を持つ」という発想がある。市民のニーズの個別化により行政コストが莫大となり対応できなくなった結果、市民がNPOとして活動を始め、行政の不足を補う役割を果たしてきた。 一方、日本は、日本的経営といわれる運命共同体の護送船団方式の社会習慣が定着しており、バブル崩壊後も意識の変化がない。そのために為政者に自分を委ね、個人が無責任となる傾向が大きい。為政者への糾弾をしないのでストレスがたまる結果となり、 社会を支える人がいないので寄付文化が定着しにくい現状がある。
・今後は、企業は、NPOのコラボにより、企業に社会課題に取り組むことが求められる。そのために、経営課題を整理し、鍵を握るステークホルダー(利害関係者)の二-ズや期待を把握することが必要となる。アンケートだけでなく、リビングラボという手法も取り入れる必要がある。そこからコストやリターンの算出を行い取り組みの実施について検討することとなる。
③CSR実践のためのガイドライン
・組織が社会的責任を果たすのに、ISO26000の規格がある。これは、認証規格ではなくガイドラン(手引書)
7つの社会的責任の原則:1説明責任、2透明性、3倫理的行動、4ステークホルダーの利害の尊重、5法の支配の尊重、6国際行動規範の尊重、人権の尊重。上記をベースに取り組むべき7つの課題がある。1組織統治(ガバナンス)、2人権、3労働慣行、4環境、5公正な業務慣行、6消費者課題、7コミュニティへの参画及び発展
・社会的責任をわかりやすく伝えるのに、2030年までの時限目標SDGsを活用すると良い。国連で採択されており、17項目、169のターゲットとして規定されている。
④SDGsの取り組みを本物にするために
・自社の事業の社会とのつながりを理解し、社内外に伝えるにはとても有効な目標であるが、適当に目標を事業に当てはめるだけではいけない。SDGsウォッシュという似非SDGsの取り組みとなる。
・自社の事業がSDGsの17目標に関係するものをリストアップし、さらに169のターゲットのどれが関係するかを紐づけする必要がある。そして、それを実現するためにどのように事業を展開するか、意義を明確にし、何を実現するかを決定し、数値目標に表すことで分かりやすくなる。社外にも共感してもらえる事業のストーリーを考える必要がある。
・SDGsの目標の中にも人権に関しての目標が 挙げられており、人権擁護は、社会課題としてとらえられている。人権についてきちんと取り組みをしないと社会的批判に晒されたり、罰則を受けることになり、経営のリスクが高まる一方、積極的に取り組めば社会的に評価もされ、社員の意識も高まり、業績への反映も期待できる。
CSRの取り組み方法について詳しくは、ゆうあいセンター CSR相談員にご相談ください。上記の話については、ゆうあいセンター はじめてのSDGsとCSR基礎講座にて事例を含めて紹介しています。
二人目は、LGBTへの理解と取り組みが企業発展のカギとなることの講演です。自身がLGBT当事者であることをカミングアウトされているNPO法人カラフルをチェンジラボ 三浦代表理事が説得力のある話をされました。
・組織の根源は、ダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(社会的包摂、包含)人種、性別、年齢、障がいなどLGBTを含むあらゆる人の在り様を認め、共助や持続可能性の視点を通して個々の力を生かす社会を作る必要がある。
・誰もが何らかのマイノリティであり、お互い様の多様な社会である。見えにくい違いを想像することが重要
・LGBT(レズ:女性、ゲイ:男性同士の同性愛者、B:バイセクシャル(両性愛者)T:トランスジェンダー外見の性と内面の性が一致しない)は性的少数者といわれ、11人~20人に一人5~9%存在する。
・性には、性的指向(好きになる対象)、性自認(心の性)、性表現(社会的な性)の3つがありSOGIEといわれる
・SDGsのモットー「誰も置き去りにしないの」中にLGBTも包含されている
・SDGsに取り組む以上、LGBTへの理解を示すことは当然のこと。
・東京オリンピック・パラリンピックは性的指向の差別禁止がうたわれており、トランスジェンダーの選手の参加が認められている。その最初の大会として注目が集まっている。
・日本は、まだLGBT後進国である。包括的差別禁止法がない。婚姻に関する法的保証がない。戸籍上の性別変更要件が厳しい。同性カップルへのDVの対策不十分。セクハラ、パワハラ防止指針ができたことは評価できる。
・職場におけるLGBTの離職率は、60%。排泄障害や差別的発言によるうつ、いじめ・からかい・昇進差別、差別的言動がある。組織においては、孤立を恐れ、沈黙してしまい心や体をいたく傷つけてしまう。
・職場において、アライ(アライアンス:理解者・同盟)の存在が重要。企業文化を変え、LGBTにポジティブな環境を作る必要がある。
・アライが職場にいることでLGBT社員が安心して能力を発揮できる。生産性の向上につながり、離職率を下げることができる。LGBTを対象とした新たなビジネスチャンスが生まれる可能性もある。
・見えない存在のLGBTに配慮することが社員の観察力、思いやり力を向上させ、業績に良い影響を与える。
三人目は、職場のメンタルヘルスケアに関してです。大阪経済大学 経営学部 田中教授のお話です。
・職場のストレスの現状は職場の人間関係が第1位、次にパワハラが挙げられる。職場におけるいじめ・嫌がらせは年々増加している。
・職場でのパワハラに関しては指針が制定されている。優越的な関係を背景にして、業務上の必要・相当な範囲を超えたもので、労働者の就業環境が害されるものとされている。
・職場のメンタルヘルスケアに関しても指針が制定されている。安全配慮義務もあり、労働者に対して必要な配慮を講じないといけない。
・職場ストレスが発生しない職場環境づくり、相談対応による早期発見、ストレスチェックの義務化、必要に応じた専門機関の受診。職場復帰後の支援が求められている。
・時間外労働が100時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる社員から求めがあったら医師の面接を受けさせなければならない。
・外部の専門家と連携することも重要。
