「思いのある企業は、NPOの役割をも担う」

活動・取り組みその他

こんにちは、ゆうあいセンターCSR相談員 小桐です。
これまで、10回に渡ってSDGsについての取組みやイベント(シンポジウム)等の紹介をしてきました。
今後もSDGsに関する情報提供も続けますが、今回は企業の新たなCSR活動についてご紹介します。

神戸にある「フェリシモ」という会社をご存知ですか? 1965年に株式会社ハイセンスとして設立され、1989年に現在の社名に変更されています。元々女性の衣料品の頒布会として事業を営んで来られましたが、現在では形態も維持しながら、違う事業を行っておられます。

フェリシモとは フェリシティ(至福)とシモ(強める言葉)の造語です。
「しあわせ社会学の確立と実践」を経営理念とし、「自分ひとり分のしあわせ」を超えて、「ともにしあわせになるしあわせ」を標語に、多彩な事業活動を通じて、みんながともにしあわせになれる社会をつくっていくという活動を行っておられます。それは、単に商品やサービスを提供するだけではなく、顧客自身がしあわせを生み出す担い手になるような“経験価値”を提供することを目指しているところに同社の優れた価値があります。

同社の考える「しあわせ」は、いつかどこかのしあわせではなく、毎日の何気ない日常にある、小さな喜び、うれしさ、楽しみ、豊かさ、そして心温まる光景や風景などのひとつひとつの積み重なった心の様相を指します。
そして、「しあわせになる」のなるは、一度で終わるものではなく、続いていくしあわせ。どのようにすればそれを継続させることができるのか。について将来世代の観点から常にしあわせを考えた行動となっています。
このような連帯性と連続性のある「しあわせ」=私たちの考える「しあわせ」の定義ですとしています。
ここまで、具体的に自社の理念、スタンス、提供する幸せの価値について言及している企業は中々ありません。

同社のスタッフは女性が多くその比率は全従業員で84%となっています。それだけに顧客も女性が90%以上と圧倒的です。では、どのような商品・サービスをどのように提供しているのでしょうか?
商品の大半がオリジナルであり、毎月1回届く「定期便」という方法をとっています。また、製造元と顧客の間にはフェリシモだけというダイレクトマーケティングの手法も同社の特徴です。

ファッション・雑貨 インナーなどは、通常の通信販売商品と同じですが、やってみたかったことが「楽しく身につく」自宅で出来るレッスンやユニークな着ぐるみ商品、歌のギフトや家事のサポートなど形のないサービスも提供しています。

これまで、企業の社会的責任を実行するステップとして、金銭でNPOなどの活動を支援する「CSR1.0」、寄付付きの商品で売り上げの一部を社会課題の解決に支援する「CSR2.0」、本業で社会課題を解決する「CSR3.0」があると言われてきました。 
例えば、CSR3.0ではオーガニックコットンを使用した衣服が有ります。これは、栽培者の農薬被害の防止や借金からの解放、適正価格での買い上げにより児童労働をなくすことに繋がります。栽培技術習得などでの人材育成という課題の解決にも寄与しています。チョコレートでは、フェアトレードのカカオ豆によって、児童労働をなくし、安心して食べられるチョコレートが実現されます。 
このような企業の社会的な責任や対応に加え、フェリシモは、その次のステップである CSR4.0とも言える活動を事業活動として行っています。

それは、顧客から直接お金を預かって社会課題を解決するために使う事業活動です。同社では、「基金活動」と呼んでいます。2017年度の基金収入は、1億1,600万円ほどでした。この顧客から預かったお金を、50を超える社会課題の解決に使用しています。 
NPO法人が会員を集め、その会費や助成金などを元に社会課題を解決するための事業を行う事にとても良く似ています。 同社の商品やサービスを購入する顧客が、正に買う立場を超えて、起業理念に共感し、顧客が一緒に社会を良くするためにお金を預ける活動です。

当然、フェリシモ単独では社会課題の解決を直接行うことは難しいので、NPO法人や社会課題を解決しようと行動する団体とも連携をしています。また、基金以外にも買い物ポイントで社会貢献できる仕組みも作っており、盲導犬育成支援、木村秋則自然栽培農学校指導者育成など2017年度は950万円ほどに匹敵するものとなっています。

1990年から始まった「フェリシモの森基金」は全国の顧客から毎月100円を託してもらい、日本や海外の森づくりの資金として提供しています。「地球村の基金」では、社会構造的貧困 自然災害 紛争・戦争などにこれまで3億円以上、対象者312万人 59カ国 248のプロジェクトを支援しています。
2018年の西日本豪雨水害では、岡山県内のNPO法人AMDA MINDSの紹介で、避難所を訪問する保育園児、幼稚園児に約3,000点 600万円分のおもちゃがプレゼントされました。

同社は社員の部活を認めていて、月2回8時間業務として行っています。例えば猫好きな社員が集まったフェリシモ 猫部では、人と動物が暮らしやすい社会を作ろうと猫をはじめ、飼い主のいない動物の保護や里親探し活動などの基金を集めて支援しています。2017年度の基金は1,800万円強になったとの事です。

このような基金活動の他に、障がいのある人たちが持つスペシャルでピュアな能力や個性をもとにした商品づくりも行っています。福祉作業所と、クリエイターやメーカー、NPO、プランナーなど、たくさんの人が関わるものづくりを通して、手に取る人をしあわせにして、誰もがボーダーなくつながる未来をつくるプロジェクトとして機能しています。

CSR3.0社会課題を解決する商品・サービスに加え、NPO法人の活動と同じ機能を果たす社会課題解決のための基金活動はまさにCSR4.0と呼べるものではないでしょうか。
しかも、一つの社会課題の解決に向かうNPOが単独では集められない資金額が同社の信用が看板になり、使われています。
企業は社会の公器であると松下幸之助氏や経済学者のピータードラッカーが言っていますが、まさに言葉通りの会社といえるのではないでしょうか。 どのような企業を皆さんは応援されますか?

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