新着NSRレポートのご紹介 認定NPO法人ACE
活動・取り組み子ども
こんにちは、ゆうあいセンターCSR相談員 小桐です。
今回は、ゆうあいセンターに新しく到着したCSRレポートならぬNSRレポート(NPO法人の活動報告書)のご紹介です。
NPO法人でも当然、毎年活動報告、次年度の計画は総会を開催され、議決し、実践されていると思います。会報誌も定期的に発行される法人も多いと思われます。
本日ご紹介する認定NPO法人ACE(東京)はCSRレポートの形式を踏襲して自組織の理念、計画、活動の報告をされています。
NPO法人としても、企業並みにきちんと事業評価をしてさらに、活動の広がりを社会に向けて情報発信し、社会課題の解決を目指す姿をアピールするツールとして上手にレポートを活用されている良き事例としてご紹介する次第です。
そもそも「ACE」とは、Action against Child Exploitation(直訳すれば こどもたちからの搾取をなくす活動)の頭文字をとった名称です。同法人は、主に児童労働をなくし、教育を受けることが出来るような「こども支援事業」、政策提言などの支援事業、啓発自民参加事業を展開しています。
この認定NPO法人としての活動は、今から19年前の1997年に女子大学生5名が6カ月限定のNGOとして立ち上がった事に端を発します。翌年、児童労働に反対するグローバルマーチ(インド)に参加、そして国内でもその動きを伝えたいと東京と大阪で児童労働に反対するグローバルマーチを開催しました。
「世界から児童労働をなくそう」を合言葉に自分たちで事業を起こし、理解者を増やして行きました。その時の中心メンバーが母親となった現在でも代表理事、事務局長など主要ポストを務めています。支援者は、個人では会員、マンスリーサポーター、クラウドファンディングなど1300余人の他、企業会員30社、法人寄付57団体や各種助成金を活かして活動を展開しています。
主要な事業の一つにインド、ガーナでの児童労働を無くす活動があります。インドでは、コットン畑で働く子どもたちが学校へ通えるように、地域を説得し、学校建設に協力し、親の収入増加のための社会的なインフラ整備とともに、子どもたちが学校に通う前のブリッジスクールづくりにも力を注いでいます。また、ガーナでは、カカオ豆の栽培に関わる子どもたちが学校へ行けるようにインドと同様の活動を行っています。ガーナの子供たちは、殆どがチョコレートなど食べたことが無く、カカオ豆がチョコレートになることも知らない子が多いという現実があります。
ACEでは、例えばチョコレートに関する児童労働を無くす活動の一環として、国内の菓子メーカーと組んで、販売金額の一部が児童労働の改善に役立つチョコレートを年間発売する事に成功しました。コンビニでも見かけるダース(森永)のチョコはパッケージの裏に1チョコ1スマイルと書かれ、ガーナの子供たちの笑顔の写真が印刷してあります。日本人のほとんどが知らない児童労働を広く知らしめると共に、社会課題の解決を企業と共に行っているという所にNPOとしての戦略の素晴らしさを感じることが出来ます。
また、企業とコラボして、プログラムを作り、綿花栽培(オーガニックコットンと通常の綿花栽培の違いを知らせる)を通して環境面・社会面の問題を考える環境授業を一緒に行うなどの実績もありました。
今回入手した特定非営利活動法人ACE2016年度年次報告書 「アニューアルレポート2016」では、新しく制定した理念の紹介と共に、行動指針、組織紹介の他、児童労働の説明と共にSDGsとの関係の説明、中長期戦略を冒頭より紹介しています。その後各種事業の報告につづいて、財務状況の報告、支援者の紹介、メディアでの紹介実績を掲載しています。
遊ぶ、学ぶ、笑う。 そんなあたりまえを、世界の子どもたちに というキャッチフレーズは分かり易く共感を得やすいものです。遠く海外で起きている事が、知らないとは言え、自分たちの消費行動が引き起こしていることに気づき、それを広く伝えると共に改善策を関係者と粘り強く交渉し、協力し、実績を積む活動を行っているACEのレポートは社会課題を解決に取り組むNPOや企業にとっても参考になるものだと思います。レポートはゆうあいセンター 中ほどのCSRレポートコーナーに配架しています。是非一度ご覧ください。

