企業の社会的責任 人権と衣料について7~消費の在り方から考える

地域課題・社会課題環境

こんにちは、ゆうあいセンターCSR相談員 小桐です。
今週は、人権と衣料についての情報提供です。世界で一番衣料品に使われている天然素材「綿」(コットン)です。世界で75%の人が衣料として着用し、衣料品に使用される生地の、少なくとも40%が綿製です。

綿は、世界中で栽培されており、他の天然素材と比べて、簡単に「糸」を作り易い繊維であり、吸水性なども高く、丈夫で、染色も比較的容易なので衣料以外に日常生活の中で様々に利用されています。私たちの暮らしに欠かすことのできない「素材」といっても過言ではないでしょう。

日本においても、江戸中期から明治半ばまでは、綿が盛んに栽培されていました。
地元岡山は、ご存知の通り、ジーンズや学生服の産地であり、干拓によって開発した新田で、綿を栽培し、帯、足袋、紐が特産品として生産され、流通しました。それが現在へと発展してきた歴史があります。

さて、この綿ですが、 原綿となるコットンを栽培しているのは世界80カ国。
生産量の約80%がインドや中国、ウズベキスタンなどの発展途上国の人びとによって生産されています。生産量は、中国、インド、アメリカ、パキスタン、ブラジル、ウズベキスタンの順番で、世界のコットン産業に約3億人の人びとが従事しています。

肌触りの良いコットンでつくられた衣料品は、私たちの日々の生活を支えてくれる大切な分身みたいな存在ですが、その生産現場では、不都合な真実がたくさん存在しています。

皆さんは「オーガニックコットン」と言う言葉を聞かれたことはあるでしょうか?
3年以上、農薬や化学肥料を使っていない畑で栽培され、さらに繊維にする際に出来るだけ化学薬品を使わずに糸にして編んだり、織ったりした布を使って作られた製品です。
通常の綿よりも値段が高いので販売されている量は少ないです。

少し古いデータですが、2011~2012年の世界のコットンの総生産量は、2,710万トン。そのうちのオーガニックコットン生産量は13万8000トン。割合でいえばわずか1%にも満たない0.5%です。

普段私たちが身に着ける一般の綿は、世界の畑の中で最も多くの農薬が使われている農産物です。Tシャツ1枚分200g綿に150gの化学肥料や農薬が使われています。

1970年頃から、農薬が生産者の健康と周辺の自然環境に悪影響を与えている事実が語られ始めました。一方で、高い生産性や品質性を優先するために、種の遺伝子を操作する技術が開発され、遺伝子組換え種子の使用は世界中で一気に拡大します。
綿の生産大国であるインドではその割合が90%を超えるまでになっています。しかし、遺伝子組換えの技術は、自然に無いものを作り出すので、生態系への悪影響ならびに耐性による農薬の拡大などが懸念されています。

それだけでなく、インドでは、少なくとも40万人以上の子どもたちが、綿の種子を収穫するために、学校へ行かずに働いています。インド全体での「児童労働」は数百万人にも上るとも言われています。また、農薬を素手で触ったり、吸引したり、が農薬で汚染されるなど健康被害も多数報告されています。その他、綿栽培の借金で自殺する農民は、11年間で18万3000人にも上るなど社会問題も多くあります。

私たちが安い衣料品を求めれば求めるほど、生産現場では、悲劇が増えるということになります。オーガニック綿は、有毒な化学合成の農薬を使わないというだけでなく、土壌への負荷も少なく、値段も高く売れるので、経済的にも生産者にうれしいのですが、
オーガニック栽培ができるまでの3年間の収入減少に生産者が耐えられず、広がって行かない現状があります。

パタゴニアというアウトドアブランドを御存じですか? 同社は、1996年よりオーガニックコットンの全商品展開をしています。
「最高の製品を作り、不必要な悪影響を最小限に抑えることを追求、ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行 」という同社の理念を反映した企業の社会的責任を果たすための行動=事業展開です。

日本でも、オーガニックコットンしか扱わないアバンティというアパレルは20年以上前から事業展開をしていますが、まだ多くの人はご存じないと思います。最近は、無印良品やイオンが紳士、婦人、子ども服での販売をしており徐々に認知度が高くなっているように思います。 値段も一般の綿花と比べると驚くほど高いというものでは無くなってきました。10%~20%黴ではないかと思います。

私自身のオーガニックコットン栽培経験で考えると綿消費を1/4抑えるだけで世界の綿花が全てオーガニックコットンに代わります。最近では、一般のものと比較して収量は
同じになったという報告もあります。
もともと農薬、化学肥料が出来る前は世界のすべての綿がオーガニックコットンでした。 地球と人にやさしいオーガニックコットンを身に着けませんか。そして、生産者や流通を応援しませんか?

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