企業の社会的責任 社会課題解決のための事業展開
地域課題・社会課題その他
こんにちは、ゆうあいセンターCSR相談員 小桐です。
今回は、企業の新たなビジネス展開という視点で社会課題の解決をする動きについての情報提供です。
企業がマーケティングを展開する時に どんな顧客に どんな商品やサービスを どんな市場( 販売方法)で、いくらで提供するかを考えます。自社だけが独占的に商品やサービスを提供すれば利益は最大になりますが、ライバルが現れると当然競争が生じ、商品やサービス、価格、販売方法などの見直しが必要となります。
企業は利潤を最大にすべく行動をとりますが、競争が激しい状態や市場をレッドオーシャン(血まみれの戦いをする場所という意味で)と経営学では呼んでいます。一方、ライバルがいなかったり、少ない状態・市場をブルーオーシャンと呼んでいます。
そして、今新しいビジネスの考え方として「グリーンオーシャン」という考え方によって、ビジネスを展開する企業が増えています。
それは、「社会課題の解決」をビジネスで創っていくというものです。
従って、これまでのビジネスのように、自社だけの思いで事業を展開するということでなく、同じ社会課題を共有する当事者やNPO,NGOなどと連携していくものです。 なぜ、今グリーンオーシャンに取り組む企業が増えているのか?
それは、企業と顧客の間の関係性がこれまでのビジネスと比べて強固なものとなり易く、収益性が高いビジネスになる可能性が高いことと収益が上がりにくくても、社会課題に取り組む事でその企業の社会的な価値が高まり、その地域やビジネスにおいて将来的な顧客の創造に繋がり、持続的な成長が期待できるという面もあります。
この背景には、2015年に国連で決議された、SDG‘S(持続可能な開発目標)により2030年までに世界で共通して課題解決に取り組む17の課題と169の実行テーマが決定したことで、課題解決に取り組む企業への評価が高まり、新しい事業が起こしやすい状況が生まれたことが考えられます。
そして、新しい技術開発や新しい発想による製品・サービスを新しい市場や社会に提案できる機会に繋がるのです。CSV(クリエーティングシェアドバリュー)と呼ばれる社会と企業の共有価値の創造により、企業の社会的責任を実現する事に繋がるのです。
この度、CSRについて情報発信・提供をすすめる雑誌「オルタナ」が第1回 グリーンオーシャン大賞 を創設し、募集 大企業、中小企業のそれぞれの部門で募集しました。自薦他薦含めて全部で39の企業から応募があったとの事です。
「社会性」「事業性」「独自性」の審査基準により、大賞1社の他金賞2社、銀賞2社、銅賞4社、優秀賞11社、優良賞12社が選ばれました。
金賞に大企業では、リクシルが 簡易式トイレSATO(安全で衛生的なトイレが不足する新興国向けのトイレ開発と普及)、中小企業では、ボーダーレスジャパンが大賞と同時受賞となりました。同社は、社会課題の解決のみを行う「ソーシャルビジネス」しかしない会社で「社会企業家のプラットフォーム」を目指し、社会問題を解決する事業プランを公募し、最大3千万円の出資と共に経営ノウハウを伝伝授するものです。
主力事業の一つは、貧困問題の解決を目的にバングラディシュで革工場を立ち上げ、働きたくても雇ってもらえない人たちを501人雇用しています。シングルマザー、未経験者を積極的に採用し、他の工場と比べ1.2~1.5倍の平均賃金を支払っています。ブランドの一つである「ビジネスレザーファクトリー」は2015年に楽天ショップオブザイヤー2015CSR賞を受賞しています。
このほかにも、様々な事例が雑誌オルタナ48号で紹介されています。
ゆうあいセンターに冊子が有りますので、ぜひおいでください。
利益優先企業から使命優先企業へのシフトが今後期待されます。

