C S RとCSRレポート

地域課題・社会課題働き方

Noboru Ogiri

こんにちは、ゆうあいセンターCSR相談員 小桐です。

今回は、今企業を取り巻く電通の社員自殺問題を通して「企業のCSRとその活動報告であるCSRレポート」について考えてみたいと思います。


■労働局の強制捜査にいたるまでの経緯
・昨年12月 電通新入社員の高橋まつりさんが自殺をした。高橋さんの1カ月(10月9日~11月7日)の時間外労働は約105時間にのぼった。9月30日に過労死による労働災害と認定された。

・電通では、1991年にも入社2年目の男性社員が、長時間労働が原因で自殺し、遺族が起こした裁判で最高裁が会社側の責任を認定。過労自殺で会社の責任を認める司法判断が出た。

・11月7日に労働局は労働基準法違反容疑で、本社他3支社を家宅捜索した。労使協定を超えた違法な長時間労働が常態化していたとしてみたため。また、同局は、電通が残業隠しを組織的に実施しているとみている。
・遡って、11月1日 電通は、子育て支援に熱心だと国が認めた企業に与えられる「くるみん」マークの認定を返上すると東京労働局に申し出た。厚生労働省は了承し、認定は即日失効した。電通は、広告などに「くるみん」マークを使って、「働きやすい企業」だとPRすることはできなくなっていた。

■電通のCSRの取り組みについて(CSRレポートより)
国内最大手の広告代理店である電通は、ホームページで以下のようなCSRの取り組みを実施してい
るとしています。

①CSRについての理念
電通グループのCSR理念である「電通グループ行動憲章」は、『コーポレートガバナンス』『人権の尊重』『労働環境の整備』『環境保全』『公正な事業慣行』『消費者課題の解決』『コミュニティ発展への寄与』という電通CSRの「7つの重点領域」を中心に構成され、電通グループに属するすべての経営者と従業員に対して社会的責任を果たすために順守すべき概要を明示しています。

②電通グループ行動憲章
1.コーポレートガバナンス
我々はステークホルダーの利益を重視するとともに、それを毀損するような活動およびそのリスクを排除します。また経営者は責任をもって適切なコーポレートガバナンスの構築・維持を実現します。

2.人権の尊重
我々は人権に関する国際社会の基本原則を守り、企業活動に関わるあらゆる人々の人権を尊重し、差別的な取り扱いを行いません。

3.労働環境の整備
我々は安全で配慮の行きとどいた職場環境を実現します。

4. 環境保全
我々は業務過程で発生する環境負荷の低減を目指し、持続可能な社会の実現に寄与します。

5.公正な事業慣行
我々はいかなる市場においても公正な競争の下で業務を遂行します。いかなる利益相反も回避するとともに、しかるべき対処を行います。また贈収賄、マネーロンダリング等の汚職行為に加担しません。

6.消費者課題の解決
我々が業務を行うすべての市場において、業務を通じて消費者への適切な情報提供と安全に対する配慮を行うとともに、消費者課題の解決に努めます。

7.コミュニティ発展への寄与
我々が業務を行う地域社会から地球規模に至るすべてのコミュニティにおいて、社会的課題の解決に取り組み、その発展に寄与します。

③グローバルスタンダードに沿ったCSR活動を目指して
電通は「電通グループ行動憲章」に代表されるように「ISO26000」が取り扱う社会的責任の「7つの中核主題」を意識したCSR活動を推進するとともに、2009年12月には国連グローバル・コンパクトに参加し、人権、労働、環境、腐敗防止からなる10原則を支持、「CSRレポート」の提出を通じて10原則の実現に向けての年次活動報告(COP:Communicationon Progress)を行
っています。
・労働慣行 ワーク・ライフ・バランスの推進・健康管理体制の整備・積極的な休暇取得の推進
人材を生かす職場環境整備(ダイバーシティーの尊重、子育て両立制度、定年後の再雇用など)
社員の能力開発推進(研修/セミナーの実施)
海外における職場環境整備(Wellbeing、Route to Good など)

④電通CSRレポート
・労働環境の整備
サステナブルな社会を実現するには、多様な社員の能力を最大限に引き出して活用することが欠かせません。「人が財産」の電通では、社員が高いモラルとモチベーションを持ち、能動的に仕事に取り組める環境を整えることが、極めて重要な課題であると考えています。
そのため、能力開発、ワーク・ライフ・バランス、そして健康・安全管理体制の整備の観点などから、きめ細かい対応を施してます。

ワーク・ライフ・バランスの推進
・「充実した生活」が「質の高い仕事」を生み、「やりがいのある仕事」が「人生の満足度」を高める。電通のワーク・ライフ・バランスの目指すところは、まさにその相乗効果です。
・健康管理体制
社員が心身共に健康で過ごすことができるよう、予防対策から復帰支援まで、きめ細かい健康管理対応を心掛けています。
・積極的な休暇取得の推進
社員が持つ力を存分に発揮して、仕事で成果を上げるためには、しっかりと休養し、次の仕事への英気を養うことが欠かせません。新しいアイデアを生み出すためにも、休暇の取得は大きな意味を持っています。
・人材を生かす職場環境
アイデアを売りにする電通にとって、最大の財産は「人材」です。そのため、さまざまな可能性を秘めた人材の採用から、社員が活躍できる職場環境を整備するための人事制度を導入しています。
・能力開発の推進
社員が高いモラルとモチベーションを維持するとともに、仕事に能動的に取り組めるような環境を整えるため、社員の能力開発に重点を置いた研修制度や各種セミナーの充実を図っています。
・緊急時の安否確認
緊急事態が発生した際に、安全配慮義務と業務継続計画(BCP)の観点から、国内・海外の従業員の生存、負傷程度、連絡の可否などの安否確認を速やかに実施する仕組みを整えています。

■CSRの取り組みとCSRレポートの記載について
CSRの取り組みは、組織の社会的責任ISO26000をガイドラインとして、取り組むと書いています。そして、その実態を表現する項目では、「ワーク・ライフ・バランスの推進」において
・健康管理体制として、社員が心身共に健康で過ごすことができるよう、予防対策から復帰支援まで、きめ細かい健康管理対応を心掛けています。という記述はあるのですが、では具体的には何を
どうしているとの実施している事実の記載がありません。「〇〇をします。」だけでは、絵に描いた餅であることは多くの方々が、感じられるところです。良くも、悪くも事実をありのままに書き、次年度以降の課題は何であるかを明らかにして、初めて実績の評価がはっきりすると考えます。
曖昧な記述はレポートの信用をなくし、ひいてはその企業の信頼を失うことにもつながりかねません。
同社のCSR推進体制を見ると、実施とチェック体制が見えにくいものでした。
今回のことを他山の石とするならば、PLAN ⇒ DO ⇒ CHECK ⇒ ACTIONがわかるように記載する事がCSR活動を社内外に正しく伝えることになると思います。
企業の経営を安定的にするためのツールとしてCSRレポートを作成することは自社だけでなく、社会の為につながると考えます。

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