「幸せなお肉を食べていますか?」

地域課題・社会課題その他

こんにちは、ゆうあいセンターCSR相談員 小桐です。
あなたは、犬派、猫派ですか?といえば、ペットとしてどちらが好きですか?というくらい、今やのペットで犬や猫を飼う人が増えているようです。全国で1800万頭、それに伴って、ペットフードの市場規模は、4700億円を超える規模です。ペットは、飼い主に愛され、幸せな人生ならぬ、動物生を過ごしているのでしょうか?
「動物たちが自然に行動(natural behavior)できるように、快適な環境を整えること」が重要だという
「アニマルウェルフェア」という概念が広がりつつあります。滝川クリステルさんが代表理事を務める一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブルでは、「アニマル・ウェルフェアサミット」というイベント等を開催しており、概念の普及に関する一端といえるでしょう。

さて、同じ動物でも、私たちが食べさせて頂く動物たちの事について今回はスポットを当てます。
上記の「アニマルウェルフェア」という言葉をご存知でしたか?
日本人の認知度は、今年、2018年度の調査では20%ほどだそうです。畜産動物に関するアンケートをNPO法人アニマルライツセンターが1200人の15才以上男女を対象にネットで調査した結果です。
2年前は15%、昨年は17%と少しずつ認知度が増えているようです。

さて、5人中4人は知らない「アニマルウェルフェア」って何でしょう?
農林水産省の資料によると『動物が生活及び死亡する環境と関連する動物の身体的及び心理的状態をいう。』と定義されています。このアニマルウェルフェアの状況を把握する上で、役立つ「5つの自由」という指針が世界的に決められています。
「5つの自由」とは、
① 飢え、渇き及び栄養不良からの自由、② 恐怖及び苦悩からの自由、③ 物理的及び熱の不快からの自由、④ 苦痛、傷害及び疾病からの自由、⑤ 通常の行動様式を発現する自由というものです。

なぜ、このような指針が決められたのでしょう?それは、動物の立場に立ち、人間が動物に対して与える痛み・苦痛を最小限に抑えることで、飼育されているすべての動物の「生活の質(Quality of life)」を高めようとする考え方から生まれています。「アニマルウェルフェア」は、「動物福祉」や「家畜福祉」と訳される場合があります。この考え方は、肉食を中心とする文化を持つ欧州から生まれました。1960年代に英国では密飼い等の劣悪な畜産の在り方について問題が提起されこれが発端となって「5つの自由」を中心としてアニマルウェルフェアの概念が普及したとのことです。

なぜ、今「アニマルウェルフェア」なのか?それは、東京オリンピックと大きくかかわっています。
海外の選手や訪れる観客は日本以上に敏感であり、政府としてもこの問題について対応しないわけにはいかず、
消費者等のアニマルウェルフェアの関心の高まりと海外の動きに対応し、「アニマルウェルフェアに配慮した家畜の飼養管理」を発表しています。2年前に開催された「アニマル・ウェルフェアサミット2016」には、東京都で殺処分ゼロを目指すことを掲げた小池・東京都知事も登壇しました。
「アニマルウェルフェアの考え方に対応した家畜の飼養管理指針」を畜種ごとに制定されていて、対象は、採卵鶏、豚、ブロイラー、乳用牛、肉用牛、馬 です。

さきほどのアンケートの内容ですが、不都合な真実が設問として用意されています。
・母豚の多くが、妊娠ストールという、方向転換できない狭い囲いの中に閉じこめられていることを知っていますか?
・卵用の鶏の多くが、バタリーケージという、一羽あたり22センチ×22センチほどの金網の中で飼育されていることを知っていますか?
・肉用の鶏(ブロイラー)が、早く成長するように品種改変されており、その結果、病気になりやすくなっていることを知っていますか?
・乳牛の多くが、つながれた状態でほとんどの時間を過ごしていることを知っていますか?など全部で10項目について認知度を尋ねるものです。

今の日本の食肉の生産事情は、消費者が安い食肉を求めるあまり、畜産でも効率化が進み、工場型畜産が当たり前となっています。しかし、東京都オリンピックでは、調達する物品やサービスに共通して適用する基準や運用方法について定められています。農産物、畜産物などに個別の調達基準を設けていて、それを満たすためにGAP(Good Agricultural Practice(農業生産工程管理))の認証が求められています。国際的にも広く活用されているのが、ヨーロッパ発祥のグローバルGAPです。日本の場合、代表格は一般財団法人日本GAP協会が策定するJGAPだ。JGAPは日本の農の認証取得を求める方針を固めています。
近年、倫理的消費(エシカル消費)が主張されています、これは環境に加え、人権などに重きを置く概念といえる。GAPはそうした考えを網羅するものです。

アニマルウェルフェアで食品をネット検索すると様々なものが見つかります。
何を選んで生活をするのか2020年に向けて、業者だけに押し付けるのではなく、私たちの行動も少し考え直すタイミングに来ているかもしれません。

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